ベトナム中部の民謡『ビー』と『ザム』の保存活動

山崎  こんにちは、山崎千佳子です。先週のハノイ便りは、ベトナム中部のゲアン省とハティン省の民謡『ビー』と『ザム』をご紹介しました。ビーとザムは、ユネスコ、国連教育科学文化機関の無形文化遺産に登録されたんですが、今日はその保存に取り組む地元の活動をお伝えします。

アン ゲアン省とハティン省では、『ビー』と『ザム』を歌う住民のクラブ、これはサークル活動のようなものですが、それが昔から行われています。これが、この民謡の保存に大きく貢献しているんです。


ベトナム中部の民謡『ビー』と『ザム』の保存活動 - ảnh 1

山崎 ゲアン省にあるクインハウ村のチャン・ティ・フォンさんは、村の民謡クラブに参加してまもなく10年になります。仕事は農業ということで、一年中忙しいフォンさんです。忙しい中、クラブに参加するのも大変ですね。

アン そうですね。でも、クラブのメンバーは、みんないつも熱心にその活動に取り組んでいるようです。民謡を歌うだけではないんです。若い世代の人たちにビーとザムを伝えるため、いろいろと歌を集めて、その歌詞を記録しているんです。フォンさんの話を聞きましょう。

(テープ)

「故郷の民謡が好きです。村の多くの人がクラブで楽しくやっているのを見て、私も参加しました。うちは魚の養殖や畜産など多くの仕事があって、忙しいんですが、クラブの人たちがいろいろ励ましてくれるので、民謡の練習も一生懸命がんばっています。」

アン ゲアン省にあるビンタン中学校の教員、ファム・ティ・ゴック・アインさんは1998年から、『ビー』と『ザム』を学校で教えています。この民謡に関する基本的な知識を生徒たちに伝えています。ゴックアインさんの話です。

(テープ)

「音楽教師だけでなく、文学や歴史担当の教員も民謡を教えます。民謡の授業を通じて、生徒たちは『ビー』と『ザム』の素晴らしさや価値を理解できるようになります。」


ベトナム中部の民謡『ビー』と『ザム』の保存活動 - ảnh 2

アン 『ビー』と『ザム』の愛好者は、年配の人たちだけではありません。若者も少なくないんです。ゲアン省ゴックソン村の民謡クラブのメンバー、グエン・ティ・ガーさんは大学生です。ガーさんの家族は全員、民謡を歌えるということです。

(テープ)

「小さい頃から、民謡を歌うことが大好きでした。今は、大学に行っていて、卒業後は教師になるつもりですが、民謡はいつまでも続けようと思っています。」

山崎 今日のハノイ便りは、中部の民謡『ビー』と『ザム』の保存に取り組む地元の人々の活動について、お伝えしています。ここで、一曲、お送りしましょう。「~」です。

(曲)

「Vi do dua」をお送りしました。

アン ベトナム中部のゲアン省とハティン省では『ビー』と『ザム』が民謡クラブで歌われています。そして、先ほどもお伝えしましたが、ビーとザムは、各家庭の中だけでなく、学校でも教えられています。

山崎 ゲアン省とハティン省では、現在80の民謡クラブが活動を行っていて、歌い手はおよそ2千人いるということです。ゲアン省文化スポーツ観光局のファム・ティン・ズン副局長は「民謡クラブは『ビー』と『ザム』の普及に大きな影響をもたらし、更にその保存に最も適した場となっている」と話しています。

(テープ)

「民謡クラブの活動を活発にするため、その活動の場、民謡を歌う場所の整備に力を入れています。かつては地区ごとに村の集会場があったんですが、そういった場所の整備です。」

山崎 昔、『ビー』と『ザム』を歌う時には、川の両岸、それぞれに立って、川の向こうとこっちで、かけあいながら歌っていたそうです。今は、2年ごとに、ゲアン省とハティン省で民謡フェスティバルが開催されます。

アン フェスティバルでは、人の交流はもちろん、新たに集めた民謡の情報交換なども行われます。『ビー』と『ザム』は地元に深くいきづいていますね。

ベトナム中部の民謡『ビー』と『ザム』の保存活動 - ảnh 3

山崎 そうですね。一番自然で一番いい保存方法ですね。では、おしまいに『ビー』を一曲お聴き頂きましょう。「~」です。

(曲)

「Me dong than tho cung con」をお送りしました。

今日のハノイ便りは、ユネスコの無形文化遺産に登録されたベトナム中部の民謡『ビー』と『ザム』の保存活動について、お伝えしました。

それでは、今日はこのへんで。  Chao cac ban。


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