(VOVWORLD) - 先祖は一緒だということはベトナム民族の力の基盤であると言われています。
ゴック こんにちは、ゴックです。
ソン こんにちは、ソンです。ゴックさん、6月に入りいよいよ学校が夏休みに入りましたね。子ども達は大喜びですが、夏休みにどこか行くつもりはありますか。
ゴック 下の子が最近、歴史に興味を持つようになったので、国の歴史がわかるような所へつれて行こうかと思っています。
ソン 息子さんは歴史に興味あるんですか。すごいですね。うちの子は海に行きたがっていますよ。
ゴック 子どもによって違いますからね。
ソン それじゃ、建国の祖フン王を祀る遺跡群なんかどう?
ゴック ベトナム人なら、だれもが一度は行きたい場所ですね。フート省にある、フン王を祀る遺跡群へ行きたいという願望を持っていますね。多くのベトナム人が宗教を問わず、フン王を祀る信仰を信じていますね。では、今日のこの時間は建国の祖フン王を祀る信仰についてお伝えします。
フン王を祀る儀式 |
ソン まず、フン王に関する歴史を簡単にご紹介しましょう。フン王(フンヴオン=Hung Vuong=雄王)は、ベトナムの歴史上、最初の国家とされるバンラン(Van Lang=文郎)国をつくったと言われています。その時代に関する歴史資料や遺跡などがとても少ないので、伝説の国、伝説の王とも言われています。
ゴック フン王というのはバンラン国の王の総称で、個別の名前ではないんですよね。第18代まであると言われていますけど、これも明確ではないようです。
ソン ベトナムで最も重要な祝日は「フン王の命日」ですが、旧暦の3月10日がフン王の命日というのも、「伝説」の一説なんですね。
ゴック そうですね。一体、何代目のフン王の命日かと思っていましたが、どうも詳細は謎なんですね。紀元前2879年にバンラン国がつくられたという記録があるようですが、これもはっきりしたことはわかっていません。
ソン 伝説によりますと、古代中国の伝説上の8人の帝王の子孫であるラック・ロン・クアンという王子がいました。山の姫、オーコーと結婚して、子供が100人できました。
ゴック ラック・ロン・クアンもオーコーもハノイ市内の道路名でありますね。この2つの道は接続しています。夫婦ですからね。
ソン そうですね。その100人の子供たちが大きくなると、ラック・ロン・クアンは50人の子供を連れて海のある平野部へ、オーコーは残りの50人の子供を連れて山へ入り、別々に暮らすことになりました。ラック・ロン・クアンと共に過ごした50人の子供の中から、フン王が出て、バンランという国をつくったと言われているんです。
ゴック 神秘的な伝説ですけど、どうしてそんなにフン王がベトナムの人たちに敬われているのかが今一つ気になりますね。そして「フン王を祀る信仰」はユネスコの無形文化遺産にも登録されていますね。
ソン その100人の子供がベトナム人のルーツと考えられているからです。ベトナム民族はお父さんのラック・ロン・クアンとお母さんのオーコーから生まれたという考えです。もともとはみんな兄弟ということから、民族の団結と人々の結びつきが大事にされているんです。
ゴック なるほど。それで、フン王の命日は自分たちの先祖の命日という訳なんですか?
ソン そうなんです。ベトナム全土には、フン王に関する神社が1417ヶ所あります。その数を見ても、ベトナム人にとってのフン王の位置づけがわかると思います。
フン王を祀る儀式 |
ゴック フン王を祀る信仰はベトナム人の血となり肉となり、ベトナム人の結束力をつくっていますね。
ソン そうですね。ベトナム人の考えでは、フン王を祀る寺院は先祖の象徴であり、神聖な所です。フン王の命日である旧暦の3月10日にフン王を祀る寺院を1度でも訪れて拝むのが生涯の希望です。
ゴック そのフン王を祀る信仰は、2012年12月6日にユネスコ国連教育科学文化機関によって「世界文化遺産」として認定されました。認定決定書には、「フン王を祀る習慣は先祖への尊敬心を示すもので、その尊敬心から民族の誇りと結び付けて格上げした。」と書いてあります。
ソン 全国各地にあるフン王を祀る神社の中で、北部丘陵地帯のフート省にある神社が一番有名ということですね。
ゴック はい。ハノイから車で1時間半ぐらい離れたところにあるフート省はフン王が建国したバンランの中心地だったとされているんです。フート省にあるフン王を祀る神社のエリアはベトナム民族の発祥の地とされています。
ソン 現在も、フート省では、フン王を祀る信仰、そして、フン王を祀る神社は地元の人々に大切にされています。フート省タインソン県ディンチュン村にある神社は数年前に、改修されました。
ゴック 伝統的な建築をそのままの状態で保存して改修されたことにより、ディンチュン村の神社は多くの観光客をひきつけています。神社管理委員会のディン・ヴァン・ホイ委員長は次のように語りました。
(テープ)
「私たちは神社の管理人として、ここの神聖さと美しさを守るようにしています。これは、先祖への思いを示すものであり、観光客に便宜を図るものでもあると思うのです。」
ゴック この神社の保護は村人の特別な関心を寄せいていますね。
ソン そうですね。村人は交代で神社の掃除をしたり、神社の儀式を手伝ったりしています。村人の一人の話です。
(テープ)
「私たちは互いに、神社を守るように村人全員の責任を必要とするとよく言っています。この神社は、私たちの先祖を祀るところで、毎日線香を手向けなければなりません。」
ソン 先祖は一緒だということはベトナム民族の力の基盤であると言われていますね。おしまいに、一曲お送りしましょう。「~」です。
(曲)
「~」をお送りしました。
今日のハノイ便りは、ベトナム建国の祖フン王を祀る信仰についてお伝えしました。それでは、今日はこのへんで。