少数民族テイ族とヌン族の伝統民謡の保存

(VOVWORLD) - ベトナム北部山岳地帯カオバン省グエンビン県ヴミン村は少数民族テイ族とヌン族の居住地で、これらの少数民族の伝統民謡を保存することで知られています。

ヴミン村の人口の6割はテイ族とヌン族の人々です。共通のルーツを持っているこの2つの民族は文化が類似していて、その中には、伝統民謡「テン」と「スリ」があります。これらの民謡はテイ族とヌン族の代表的な民芸として知られています。

少数民族テイ族とヌン族の伝統民謡の保存 - ảnh 1ミンタイン伝統民謡クラブの演奏 

「テン」はテイ族とヌン族の言葉で、「天」という意味で、いわゆる「天」と「地」の天です。この民謡は神様に豊作や幸福などを祈るもので、神様にお願いするための地上から天までの道のりを物語るのです。安定した天候を祈る他、長生きの長寿、男女の愛、幸運などを祈る内容もあります。

こうした理由で、テイ族とヌン族の人々はテンを歌う人は村の人々を代表して、天の神様に豊作と幸福や豊かな生活を祈る人になると信じています。この民謡は祭典などで演奏されるほか、日常生活でもよく歌われています。民謡「テン」の内容の殆どは故郷や人々などの美しさを讃えるものです。テンを歌いながら、「ティン」という琴を弾くと共に、踊らなければなりません。

ティンは3本の弦を持つ弦楽器ですが、演奏するときは右の人差し指を使って弦を弾きます。テイ族の伝説によりますと、大昔、ティンは弦が12本ありました。その琴の音色は人間だけでなく、万物の心を奪ってしまったそうです。そのため、天の神様はティンの弦を12本から3本に減らしたと言い伝えられています。しかし、琴「ティン」の音色は依然として人間を魅了しています。特に、ティンの音色がなければ、民謡「テン」は響き渡ることができないとよく言われています。

一方、民謡「スリ」は自然や具体的なものについて歌うものですが、それを通じて、人間の気持ち、愛情、希望などを示唆します。この「スリ」は、男女の歌垣でよく歌われ、楽器などを使いません。また、少なくとも男性一人と女性一人がいれば、どこでも歌えるのが「スリ」の特徴の一つです。「スリ」を歌う時、自分の歌声を聴かせるのではなく、気持ちを表すのが重要なことなのです。

ヴミン村では、こうした伝統民謡「テン」と「スリ」は衰退した時期もありましたが、現在はヴミン村に足を運べば、村人がこれらの民謡を夢中に歌う風景がよく見かけられます。これは、ミンタイン伝統民謡クラブの大きな貢献によるものです。2009年に設立されたこのクラブは、当初はわずか6人だけでしたが、今は40人を超えています。このクラブを設立したベテラン芸人ディン・ヴァン・トゥクさんは次のように話しています。

(テープ)

「最初は趣味として歌っただけですが、村人の応援により、人の前でも歌えるようになりました。また、我が民族の伝統民謡を守りたいと思って、保育園から高校までの子どもたちに教えることにしました。これはこのクラブを設立したきっかけでした。」

少数民族テイ族とヌン族の伝統民謡の保存 - ảnh 2 子どもに琴「ティン」の弾き方を教えているトゥクさん

ミンタイン伝統民謡クラブで民謡を学ぶ人はヴミン村に限らず、周辺の住民も含めていますが、現時点だけで360人を超えています。このクラブは地元だけでなく、国レベルのフェスティバルなどでも披露し、好評を受けています。クラブの活躍により、伝統民謡「テン」と「スリ」は地元の人々の生活において再生しています。村人の一人マック・ティ・フィエンさんは次のように話しました。

(テープ)

「次の世代は伝統民謡を歌えるようになって嬉しく思います。これからも、クラブの活動がより盛んになり、村人の精神生活のさらなる改善に役立つと期待しています。」

現在、ベトナムは民謡「テン」を人類の代表的な文化遺産として認定されるようにユネスコに申請書を提出しています。そのため、現地行政府は、ミンタイン伝統民謡クラブのようなモデルを拡大し、民謡「テン」の保存・開発を加速させる方針です。カオバン省文化スポーツ観光局のグエン・ホン・ヴァン副局長は次のように語りました。

(テープ) 

「ベテラン芸人ディン・ヴァン・トゥクさんの大きな努力と決意により、ミンタイン伝統民謡クラブの活動は軌道に乗っています。ユネスコによって人類の代表的な文化遺産として認定される可能性が高いですから、これから、このクラブを模範としてカオバン省全体で伝統民謡クラブを設立しようとしています。」

こうした努力により、「テン」と「スリ」を始め、少数民族の伝統民謡は、カオバン省の各地で幅広く再生し、少数民族の伝統文化の保存と開発に役立つと期待されています。 

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