北部山岳地帯ハザン省ドンバン岩石高原がありますが、その一帯に位置するルンクイ洞窟はこの高原の第一洞窟とされています。この洞窟は昔のままの姿で保存されている他、洞窟にまつわる愛の物語の伝統があり、観光客に沸いています。

（写真： ihay.thanhnien.vn）

ルンクイ洞窟はハザン省クアンバ県の県都タムソン町から3キロほど離れたところにある高い山の中腹にあります。山の麓から、洞窟まで行くため、観光客は唯一の小道を利用します。洞窟の入り口の高さは1.5メートル、幅は1メートルであることから、いく世紀を経ても、この洞窟は自然のままの姿が保たれているのです。ルンクイ洞窟を初めて訪れた観光客グェン・ゴック・ハイ( Nguyen Ngoc Hai) さんは次のように語りました。

（テープ）                                   

「かつて、5年間にわたりクアンバ県で仕事をしていましたが、この洞窟があることを知りませんでした。最近、ここに見事な洞窟があることを知ったので、見学に来ました」

ルンクイ洞窟の天井から垂れ下がる鍾乳石や、下から伸びる石筍（せきじゅん）がぎっしり 詰まり、洞窟の空間を満たしています。洞窟の中は、入り組んでいて様々な鍾乳石が見られ、観光客を魅了しています。観光客の一人ファムフンさんは次のように語りました。

（テープ） 

「ルンクイ洞窟が印象深いのはこの洞窟は手付かずの美しさのままだということです。これまで、多くの洞窟を訪れていますが、ルンクイ洞窟のように自然のままの姿は見られません。」

ルンクイ洞窟はこれまで地元に住む少数民族モン族の精神生活と密接に結び付くものであることから、地元の人々は厳格に保護してきました。この洞窟を訪れる観光客は誰もが洞窟にまつわる伝説を耳にします。その伝説は次の通りです。

（写真： dulich.vnexpress.net）

昔、岩石高原はよく干ばつに襲われました。木々だけでなく、生物もなかなか生き残りが困難で、ここに住む少数民族モン族の生活もとても大変でした。モン族の人々は仕方がなく、天の神様に対し「水をください」と祈願しました。天の神様はモン族のその願いを聞き入れて、水を与えました。これがルンクイ洞窟にある神聖な井戸です。

そして、天の神様はその井戸を管理するため、龍の神をモン族の男性の化身として、下界に派遣しました。井戸水があることにより、モン族の人々の生活は楽になり、モン族の女性は美しくなりました。龍の神は一人のモン族の女性を好きになり、二人は夫婦になって、ルンクイ洞窟の中で生活しました。

そして、時が経つと共に、ルンクイ洞窟がある山の麓にはモン族の村々が出てきたのです。また、地元の人々によりますと、モン族の言葉には「ルンクイ」というのは「岩石に棲む龍」という意味があります。

現在、地元のモン族の人々はルンクイ洞窟にある井戸を神聖なものとしています。正月や行事などで、地元に住むモン族はこの井戸水を汲んで家に持ち帰り、先祖に供養して、家族のご健康とご多幸、豊年満作を祈願しています。ルンクイ洞窟に足を運ぶ観光客は自然の美しさだけでなく、地元に住む少数民族の独特な文化で魅了されています。