ベトナム正月のテトには富める者も貧しき者を問わず、どの家でも花があります。花はそれぞれの家族に春をもたらすからです。テトの1ヶ月ほど前から、ハノイ市内の花市場が賑やいできます。
ハノイにはニャットタン( Nhat Tan) 、ギータム( Nghi Tam) 、クアンバ( Quang Ba) など多くの花を栽培する村がありますが、テトの前に開かれる最も大きな花市場はハンルオック( Hang Luoc) 市場とクアンバ( Quang Ba) 市場です。
現場の音
近年、クアンバ花市場は花の卸売りとして最も大きな花市場です。この市場で扱われている花はハノイ郊外と周辺の各地で栽培されたものです。この市場は一日中開かれますが、売買活動が最も賑やかな時刻は深夜の2時から早朝5時までです。まだ暗い早朝朝3,4時からこの市場に行く買い手は多いです。市場に入ると菊、バラ、様々な蘭、ユリ、カーネーション、グラジオラスなど色とりどりの花々を見かけます。ハノイ市民であるフィン・ゴック ( Huynh Ngoc) さんは次のように語りました。
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「テトを間近に控えた今、ハノイの多くの人々はこのクアンバ花市によく行きます。ここには南部や中部ダラット市からの花も扱っています。他にも、桃の花、金柑の植木、梅の花などたくさんの花が売られています。優しい気持でテトを迎えられるように、どの家でも花が飾られています。」
クアンバ市場はハノイの独特の美しさを探検する若者の魅力的な目的地です。出張でハノイに来たホーチミン市の市民ドゥ・フアン・ビン・ハイ( Do Phan Vinh Hai) さんは時間をやりくりして、クアンバ花市にやってきました。
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「テトの直前にハノイに来た私はクアンバ花市場に行きたくなるのです。サイゴン(ホーチミン市)の花市場ではハノイのような、テトの雰囲気を実感することができません。寒さの中で、鮮やかに咲き誇る花の美しさを鑑賞することは得がたい体験です。」
クアンバ市場より規模が小さいですが、毎年、旧暦の12月23日から30日まで、ハノイ旧市街にあるハンルオック通りに開かれる花市場は独特な市です。ハノイ市民であるグェン・ホン・クァン ( Nguyen Hong Quang) さんは次のように語りました。
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「テトの前に、桃の花や金柑の木を買うかどうかを問わず、ハノイの人々はハンルオック花市場に行きます。寒さの中に、人々はお気に入りの桃の花を選ぶため、市場を散歩するのはハノイのお馴染みの光景となってきました。この市場には桃の花、ダリア、ガーベラなどハノイの人々がテトの時、家を飾る花が売られます。今は海外からの多くの花が輸入されていますが、これらの花はハノイ独特の花です」
テトの前に開かれる花市場はあわてず、ゆっくり行かなければなりません。毎年、ハンルオック花市場に行くハノイ市民であるレ・ホアイ・ナム ( Le Hoai Nam) さんは次のように語りました。
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「花市場に行くのは花を買うだけでなく、花を観賞したり、今年の花はきれいかどうかを評価するためのものでもあります。これはハノイの伝統的文化の一つです。花市場に行くと春の雰囲気が実感できます。バインチュンと共に、家には桃の花や金柑の木があると春がやってきたことを実感できます」
ベトナム正月のテトには花市場は欠かせないものとなっています。この市場に行く人々は単に花を買うだけでなく、忙しい日々の中でも、穏やかな一時を過ごすためのものでもあるのです。