ホーチミン市には文化、芸術にちなんだ見所の他、ベトナムの歴史を理解するため見逃すことができない観光スポットもたくさんあります。その中の一つに戦争証跡博物館があります。
戦争証跡博物館は第6区のボーバンタン通り28番地にあり、1954年から1975年までの21年間にフランスとアメリカの侵略者らがベトナムに残した戦争証跡を展示する場所です。この博物館は1975年9月4日にオープン、当時は「戦争犯罪展示館」と呼ばれていましたが、のちに、戦争証跡博物館に改名されました。
2002年、この博物館は特別な建築様式で再建されました。そのおかげで、館内に展示される品々が太陽光に守られながら、展示スペースも広くなりました。この博物館には戦争にまつわる品々が展示されているほか、様々な活動も行われ、多くの観光客を引き付けています。戦争証跡博物館のフィン・ゴック・バン( Huynh Ngoc Van) 館長は次のように語りました。
(テープ)
「現在、この博物館を訪れる観光客は一日延べ2000人にのぼっています。平日に訪れる来館者の大部分は外国人ですが、週末になると、国内の観光客が増えます。夏には、この博物館を訪れる観光客が最も多くなります」
戦争証跡博物館には野外と室内という2つの展示スペースがあります。ベトナム戦争に使用された戦闘機や戦車の野外展示の他、コンソン島刑務所の牢獄を再現した建物や売店があります。展示館の屋内には大砲や爆弾などの遺物、当時の報道写真などの戦争の足跡をたどる各種記録が展示されています。他にも戦後のものとして枯葉剤の犠牲となった人々の写真や、世界中から集められた反戦ポスターを展示する児童向けのコーナーもあります。
この博物館には「回顧」という展示スペースがあり、外国人を始め、数多くの観光客の注目を集めています。戦争証跡博物館のガイド トゥ・スオン( Thu Suong) さんは次のように語りました。
(テープ)
「この展示スペースはイギリス人とドイツ人2人が自分の友人を偲ぶため設置されたものです。ここに展示されている2枚の写真を見ると、ベトナム人の抗米救国闘争の正しさが理解できます。かつてのベトナム戦争中、アメリカ人は近代武器を使用しましたが、ベトナム人は粗末な武器しかありませんでしたが、結局、ベトナムは勝利しました」
戦争証跡博物館の2階には「白い鳩」という名が付けられた子供の絵画展があります。ここには故郷や家族の人々などに対する愛情をタイトルとして子供たちが描いた絵が展示されています。これらの絵には平和の国で生活でき、学校に通い、好きなことをやるなど子供の夢が込められています。
戦争証跡博物館の来館者の70%は外国人です。彼らはベトナムが経てきた戦争を理解するため訪れましたが、誰もがここで展示される品々を見て、心が動かしています。
博物館には寄せ書きができるように置かれたノートが多くあり、これも博物館の貴重な現物です。スウェーデンの観光客はこんな熱いメッセージを残しています。「私は戦争を一度も体験したことのない素敵な国からやってきたが、戦争を引き起こそうと思う世界のすべての指導者や政治家はこの博物館を訪れる必要がある。彼らはもう一度自分の決定を検討するようお願いする。平和。平和。平和。」
戦争証跡博物館は「ホーチミン市・100の面白いこと」という観光ツアーの一つであるだけでなく、ユネスコ=国連教育科学文化機関が選択した世界の60の平和のための博物館の一つでもあります。