竹でできたカゴは、クホ族を含む中部高原地帯テイグエン地方の少数民族にとって欠かせない生活用具であり、お祭りなどに欠かせない飾り物でもあります。カゴは種類がたくありますが、カゴを作るのはクホ族の伝統的な職業です。
クホ族の人々はほとんど稲作などの農業に従事しています。カゴは元々、収穫した作物や農具を入れて運ぶために作られました。その後、カゴは農作業の他、生活の中で最もよく使われる用具となりました。
代々クホ族に伝わってきた経験によりますと、見た目がよく、しっかりとしたカゴを編むにはよい竹を選ぶのが大切で、6月から7月までの間、森へ竹を切りに行くのがいいタイミングだということです。その季節は雨季が始まったばかりで、竹は若すぎることもなく、老いてもいないのです。また、節が長く、幹が曲がっていない竹が一番いいとされています。竹を切って約1週間ほど乾燥してから、カゴを編み始めます。
カゴを編む時、竹を短く切ること、竹を細く切ること、カゴの本体を編むこと、背負いカゴの場合の紐を編むこと、カゴの底を編むことなどいろいろな過程があります。その中で、竹を短く切ることと竹を細く切ることがカゴの良し悪しを左右する大切な過程です。そして、美しいカゴを編むためには、模様を施すことも重要です。全ての過程が巧みな技と忍耐力を求めます。クホ族の一人クブレンさんは次のように話しています。
(テープ)
「普通のカゴを編むには1週間以上かかりますが、模様入りのカゴを編むには1ヶ月以上はかかりますよ。私たちは若者にこの職業を教えていますが、夢中に習った子がいます。現在、カゴを編むグループはたくさんありますが、この伝統的な職業を保存・発展させるために、国は融資などの面で手助けして欲しいです。」
クホ族のカゴは幾種類かがありますが、その中で、一番大きのは「サーソン」(Sah Son)と呼ばれるカゴです。このカゴは、50キロの米などを入れられる入れ物で、よく家に置かれます。一方、「ソザ」(So da)と呼ばれるのは背負いカゴで、外で米、水、薪などを運ぶためのものです。「ソザ」はサイズがいろいろで、最もよく使われるカゴです。
そして、もう一つのカゴは「ソボノル」(So bonor)と呼ばれ、祭りなどでよく使われるもので、運ぶというより置物として見せるのが主な用途です。このカゴは小さく、模様がたくさん施されますので、使う人はほとんど女性です。少数民族文化の研究者グエン・チュオンさんは次のように話しています。
(テープ)
「カゴはクホ族の民族色を示すもので、ドラ祭りを始め、祭りや文芸活動などでよく使われています。また、巧みに編まれて文化的な価値も潜んでいるので、クホ族の代表的な手工芸品の一つでもあります。」
現在、クホ族の人々はバイクなどで畑へ行くようになりましたので、背負いカゴで作物や農具を運ぶ人の姿は昔より減っていますが、お祭りなどでは依然として欠かせない飾り物です。また、カゴは観光客にとってお気に入りのお土産にもなっています。