中部高原地帯テイウエン地方に住むコトゥ(Co Tu)族は昔から伝わるトゥントゥンザザ(Tung tung da da)という民族舞踊を舞い、現世界と宇宙、祖先を結びつけるものとしています。
この民族舞踊はコトゥ族のコミュニティ活動に緊密に結ばれており、水牛の進物儀式や新米の収穫を祝う祭り、集会所グオイの新築を祝う祭りなどに披露されます。中部クァンナム省やダナン市、トゥアティエンフエ省に住むコトゥ族の人々にとって、この舞踊は御馴染みとなっています。彼らは民族独特の芸能の保存・発展に力を入れています。ドンザン県に住んでいるブリン・ティ・シエクさんは毎日、畑仕事を終えてから子供達にトゥントゥンザザの舞いを教えます。シエクさんは次のように話しました。
(テープ)
「村人は誰もがこの舞いを踊れます。お年よりは子供に教えます。私もお年寄りに教わりました。今は子供達に伝えています。伝統文化を保存したいのです。こうして初めてコトゥ族独特の文化が発展することでしょう。」
トゥントゥンザザの舞いを学ぶ少女たち
曲に乗らなくても小さい子から少年達までシエクさんの手解きに従って舞いの練習に夢中になっています。踊りができでも、より美しく踊れるように精力的に練習している子もいます。14歳のブリュ・リさんは次のように語りました。
(テープ)
「およそ1ヶ月間、踊りを練習しました。とても難しかったです。自分の気持ちで踊りを学んでいます。学校に通いながら、踊りを練習します。これはコトゥ族の伝統舞踊なので、練習するんです。」
コトゥ語でトゥントゥンというのは「高い目標を狙って、強力で着実になりたい」という意味があります。これは世界を征服しようとする人間の夢を示します。そういう意味で、トゥントゥンの舞いは男性の舞踊です。また、「ザザ」は天と地の恩恵を待ち焦がれるという意味で、女性の舞いとなっています。ドンザン県の住民ティン・パイさんは次のように説明しました。
(テープ)
「男性は強健さ、女性は優美さを示し、踊りを踊ります。また、女性は両手を高くあげ、天と地の恩恵に感謝の気持ちを表明するのです。踊り方で女性の優美さを表現することは容易ではありません。よく練習しないと絶対にできないでしょう。」
ザザの舞いを披露する女性たち
トゥントゥンザザ舞を踊る時、男性は素足で腰布を巻き、女性は色とりどりのスカートを着用します。また、女性は踊りながら、いつも笑顔をキープします。先ほどのシエクさんは次のように語りました。
(テープ)
「男女は輪になって、銅鼓のドラとシンバルの音色に乗って、ゆっくり移動し、踊ります。銅鼓の音色が響くと女性は踊り始め、次いで男性は輪に入り、踊ります。」
この舞踊は男女の付き合いを示し、また、ドラとシンバルの音色は神と祖先にコトゥ族の願いを祈り伝えるようです。彼らは土地と川の神は食糧、天の神は信頼を与えると考え生活を送っています。