旧正月のテトに、北部山岳地帯ランソン省にあるティ族の集落を訪れると、銅鑼や太鼓の騒々しい音色が聞こえ、住民たちが浮き浮きした気分で、テトを迎えている様子が実感できます。ティ族にとって、テトは最も重要な年中行事になっています。
テトの時、ティ族の人々は伝統衣装を着用して、互いの家に訪れ、テトのお祝いの言葉を述べます。特筆すべきはテトに獅子舞が披露されます。テトをおよそ1ヶ月前に控えると、獅子舞団が設立され、コミュニティの幸運を祈る舞いをまじめに練習します。元旦の昼から、獅子舞団は各家を回って、テトを祝います。タインホア村の獅子舞団のメンバー ルアン・バン・ソンさんの話です。
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「ティ族の獅子舞は新年に幸福・幸運を祈るための風習です。獅子舞団の訪問を拒否する家などありません。獅子舞団は階段を上りながら、踊ります。踊った後、一家の主とともお茶やお酒を飲んで、話し合ったり、歌ったりして、楽しく過ごします。これは有意義な風習だと思います。」
獅子舞に使用される楽器は太鼓や銅のシンバルです。2人は金色の糸や綿でできた五色のボールなどで華やかに飾りつけられた獅子頭の後ろに入り、踊ります。獅子の体の装飾は地方によって違います。獅子舞は健康な踊りから構成され、山岳地帯住民の武術愛好精神に見合うことからティ族に好まれています。タインホア村の住民ディン・コアさんは次のように語りました。
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「旧正月テトが近づくと旧暦12月27、28日から翌年1月15日にかけて獅子舞が公演されます。7、8歳の頃から高齢者たちに獅子舞を教えてくれました。今もこの風習は残っています。獅子舞団は各家庭に幸福を訪れ、子どもたちに親孝行をするよう祝います。家長から招かれなくても、行きますよ。」
獅子舞は踊りや民族の武術を結合されます。獅子舞の踊り手は健康で器用な人であるだけでなく、獅子、トラ、猫の動作を真似る能力がなければなりません。それぞれの獅子舞団は7、8人で構成され、幕が付いた獅子頭の後ろの中に入る人や太鼓を打つ人、銅のシンバルを叩く人として公演を行ないます。タインホア村、バンミン集落の長ルオン・クォク・チン氏は次のように述べました。
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「獅子舞団がやってくると家の主は家の中に招きます。獅子舞団は不運を取り払って、幸運をもたらすと言われています。」
旧正月テトに、ティ族の人々が多く集まるタインホア村は楽しい雰囲気に包まれ、人々の話し声や笑い声が溢れています。
ティ族は地元の産物からテト料理を作って、祖先の祭壇に供えられ、祖先に対する感謝の気持ちを表し、平安な一年を願います。
春が来て、この地域一帯は美しく咲く桃の花で覆われ、素朴な美しさを見せています。