バクザン省のカオラン族の伝統的な製紙

(VOVWORLD) - カオラン族の豊かな文化の一つとしてこの伝統的製紙を保つことは差し迫った課題となっています。

バクザン省ルクナム県ケーゲー村はハノイから北へ80キロ離れたところにある少数民族カオラン族の居住地です。ここのカオラン族は昔から自給自足の生活を送っていたためか、多くの仕事を持っていますが、その中で、伝統的な紙をつくる仕事は最も盛んでした。

バクザン省のカオラン族の伝統的な製紙 - ảnh 1カオラン族の伝統的製紙 

カオラン族の製紙はいつから始まったのか、この民族のお年寄りもわかりませんが、幼い頃から製紙作業の音が聞こえたとしています。この紙は、文字を書くほか、祭祀・礼拝用の絵を描くのによく使われてきました。祭祀・礼拝用の絵を信仰の儀式で使う習慣はカオラン族だけでなく、ヌン族やザオ族などもあります。そのため、カオラン族の伝統的な紙はかつて他の地方から多くの注文を受けてきました。バクザン省博物館に勤務しているグエン・ティ・マイ・タインさんは次のように話しました。

(テープ)

「カオラン族の伝統的な紙は模様がよく付いています。それは葬儀や伝統的な儀式で使われるためでした。模様が付く紙は祭祀・礼拝用の絵になるからです。また、文字を書いて本にすることもあります。」

カオラン族の伝統的な紙は家系図にもよく使われます。その意味で、この紙は、「人間と先祖をつなぐ役目を果たす」とされています。

しかし、現在、この紙の需要が減っているので、ケーゲー村には、伝統的な製紙作業に従事している職人は1人しかいません。その職人はズオン・ヴァン・クアンさんです。クアンさんによりますと、製紙工程は難しくないですが、質のよい紙を作るためには、注意深さが求められます。先ずは、原材料を用意するときの注意です。原材料は、「ヴァットパ」(Vat Pa)という木と、「ハウパウ」というツル科の植物です。森林の奥にあるこれらの植物はとりにくくいです。また、とるとき、厳しいコツがあります。製紙の職人クアンさんは次のように話しました。

(テープ)

「ハウパウという植物を選ぶとき、土にあるものはダメです。他の木につらなければなりません。もし土にあるハウパウをつかったら、紙は黒くなります。また、若すぎるハウパウは紙になれないですが、熟成しすぎるハウパウを使ったら、紙は黒くなります。そして、ハウパウが乾燥すればするほど、紙は白くなります。そのため、濡らさないようにしなければなりません。」

バクザン省のカオラン族の伝統的な製紙 - ảnh 2 紙をつくっているクアンさん

ハウパウは水できれいに洗ってから石灰水の中に漬けます。その後、灰を入れた水でゆでます。ゆでた後、また水できれいに洗います。これは製紙工程の中で重要な工程の一つです。きれいに洗わないと、紙はきれいにならないからです。

その後、ハウパウを細かく潰してから水に混ぜると、黄色くて濃厚な液体になります。ヴァットパという木を水の中に漬けてからその水を、ハウパウから作られた液体に混ぜます。ヴァットパは、その液体を型に入れるとき、型に付かないようにという効果があります。

型は4本の竹で骨を組み、一面から薄い布を貼ったものです。布の薄さと張力は紙の薄さを左右します。液体を型に入れるのは経験を求める工程です。先ほどの製紙の職人クアンさんは次のように話しました。

(テープ)

「液体を型に入れるとき、職人の経験による手加減がとても大切です。私は最初、その手加減がわからなかったので、コップを使って一定の液体を入れてみましたが、全然ダメでした。直接自分の手で型にある液体に触って調整するしかないです。その感じが持てるようになったら、触るだけでどのぐらい充分かすぐわかりますよ。」

カオラン族の伝統的な紙は薄いですが、もし大切に保管すれば、数十年後でも使用できます。現在、その伝統的製紙に従事している職人はわずかですから、この職業は消えてしまう恐れがあります。カオラン族の豊かな文化の一つとしてこの伝統的製紙を保つことは差し迫った課題となっています。

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