バナ族は自然と調和した生活を送っていることから楽器のほとんどは石や木、葉、乾いたヒョウタンの皮などから作られています。これらの楽器は粗末なものですが、独特な演奏方法や音色を誇っています。
銅鑼とシンバルの演奏
数百年前から、バナ族は壮大な自然を征服するという人間の夢をイメージさせる楽器を作り上げました。現在も弦楽器や打楽器、管楽器などが古くから伝わる様々な楽器が保存され、復旧されています。その代表的な楽器の中で「チンゴン(Chinh Goong)」と呼ばれる銅鑼とシンバル、太鼓が挙げられます。
銅鑼とシンバルは銅製で、直径20~60センチです。銅鑼とシンバルのセットは大型の銅鑼3個と小型10個があり、布で巻かれた木製のバチで鳴らします。大型の銅鑼は低音を、小型は高音を発します。祭りや行事で銅鑼とシンバルがなると、高揚した雰囲気を作り上げます。バナ族の銅鑼とシンバルの演奏はテイグエン地方の銅鑼・シンバル演奏の一翼を担うと共に、この演奏はウネスコ国連教育科学文化機関により世界文化遺産として認定されました。
クロンプット
銅鑼とシンバルの他、竹製の楽器トルンや手を叩いて空気を送って鳴らすクロンプットなど様々な独特な楽器があります。中部高原地帯ダクラク省の民族博物館のガイド ダオ・ミン・ゴックさんは次のように語りました。
(テープ)
「これらの楽器は文化祭や歌垣などで演奏されます。また、家族団らんや友だちとの集いでしか演奏されない楽器もあります。これは先輩が後輩に楽器作りや演奏のし方を教える機会となっています。」
ゴックさんはこのように語りました。
トルンはバナ族の代表的な竹の鍵盤打楽器として知られています。複数の竹筒が並び、細長い籐の縄で縛り付けられるもので、素朴な優しい響きが特徴です。また、竹筒は異なる音色を発して、谷川や滝、風に吹かれた竹の林の音のように聞こえます。ダクラク省に住むバナ族出身のア・ゴフさんは次のように明らかにしました。
(テープ)
「屋内でトルンの演奏はしません。同じく竹でできた楽器クロンプットは屋内で演奏されるのです。元々トルンは7本ないし8本の竹筒からできていますが、改良されたものは複数の竹筒があります。ですから、現在のトルンはどんな曲でもこなせますよ。」
また、ティンニン(Tinh Ninh)、あるいはゴンとも呼ばれる楽器はバナ族の最も独特な楽器であるとされています。これは10本から18本の金属弦を張った竹筒に共鳴用の乾いたヒョウタンの実をつけたもので、繊細な響きがします。若い男女がデートをする時、男性は楽器ゴンを弾いています。
一方、労働生産に際し、バナ族は谷川の水力や風の風力を利用する竹の楽器を創造しました。春になり、バナ族の集落を訪れると、観光客はバナ族の独特な楽器を鑑賞することができます。彼らの日常音楽や祭りは民族色を示すだけでなく、音楽や生涯に対する住民の情熱が実感できることでしょう。