ホレ族は一年中、多くの行事や祭りを行っていますが、その中で一番重要な行事は新年にあたり、水牛を祀る儀式です。稲作が中心のホレ族にとって、水牛は最も大きな財産であり、一家の主要な働き手でもあります。そのため、この水牛の儀式は、よい天候を恵んでくれた神様に感謝の気持ちを表わすと共に、これからも家族全員が健康で平穏な暮らしを送れるようお祈りをするためです。また、ホレ族の家は高床式の家で、その屋根は藁葺きで、その上には、水牛の角を飾るのが一般的です。

そして、近年、ホレ族の居住地では、肉用の水牛を飼う人が多くなっています。水牛は農作業における主要な働き手であるだけでなく、重要な収入源ともなっており、地元の貧困解消に大きく貢献しています。クアンガイ省バト県ダイラム村に住むファム・ヴァン・ノイさんは次のように話しました。

（テープ）  

「我が家はかつて、貧しかったですが、肉用の水牛を飼い始めてからよりよい生活を送っています。水牛の飼育により、家を建てることができました。また、子どもを進学させることができました。」

ホレ族は昔から水牛を飼っていますが、かつては水牛を放牧して飼育していました。しかし、この飼育方法では水牛が早く成長できず、肉も硬いとされます。そのため、2016年に、ホレ族が人口の8割を占めるバト県はホレ族の伝統的な水牛飼育習慣を活用して、近代的な飼育技術を地元の人々に教えて肉用の水牛の飼育を発展させる方針を出しました。

バト県ランザイ村に住むファム・ヴァン・カイさんは、2016年国から水牛を補助して、牛舎の建て方や草の植え方、水牛の世話など水牛の飼育技術を教えてもらいました。その5年後、彼は国からもらった水牛から7頭の水牛を持てるようになったほか、十数頭の肉用の水牛を売りました。カイさんは、村の多くの世帯は肉用の水牛飼育により、貧困状態から抜け出したと述べ、次のように語りました。 （テープ）

「地元の人々にとって水牛は最も重要な財産です。昔から、水牛を所有する世帯は豊かさの現われです。特に、国の支援により、多くの世帯は肉用の水牛を飼っており、よりよい生活を送っていますよ。」

バト県農業サービスセンターのグエン・タイン・ルック副所長によりますと、2016年、クアンガイ省はバト県の水牛飼育プロジェクトを展開することにしました。このプロジェクトは、インドの肉用の水牛と地元の水牛との交雑育種により、地元の天候に耐えながら、質的にも量的にもよい肉を提供することができる水牛を作り出し、この水牛の近代的な飼育技術を地元の人々に教えることが狙いであるとしています。ルック副所長は、その5年後、このプロジェクトは成功しており、地元の貧困解消に大きく寄与していると述べ、次のように語りました。

（テープ）

「水牛の飼育は地元の人々の多くにとって主要な生計となっています。水牛は農作業の働き手であり、経済価値が高い商品でもあります。」

こうした水牛はこれからもホレ族の生活においてより重要な役割を果たすことでしょう。