ムオン族の「薬草バインチュン」とは

(VOVWORLD) - ベトナム北部フート省に住む少数民族ムオン族は独特な料理を誇っていますが、その中に「薬草バインチュン」があります。この料理はお正月を始め、村の重要な儀式で神様と先祖に奉納する欠かせないお供え物です。
ムオン族の「薬草バインチュン」とは - ảnh 1薬草バインチュン

ベトナムのバインチュンは「ちまき」ですが、日本のちまきとは大分違います。また、少数民族ムオン族のバインチュンは多数民族キン族のバインチュンとも違います。キン族のバインチュンは15センチから20センチぐらいの正方形で、もち米の中味は緑豆と豚肉が入っています。これをラーゾンというバナナの葉に似た緑の葉っぱで巻いて、10時間ぐらい茹でます。原材料は、農民の生活にお馴染みのもち米や、緑豆、豚肉、コショウなどです。

それに対し、ムオン族のバインチュンは作り方は大体同じですが、丸型の棒状をしています。そして、原材料は、もち米、緑豆、豚肉、コショウの他、森から採ってきた薬草です。

フート省イエンラプ県フォンロン村に住むムオン族の一人ド・ティ・マンさんによりますと、ムオン族の人々は貧富を問わず、お正月などに必ず「薬草バインチュン」を祭壇に置く習慣があります。この習慣は昔と変わることなく、今もなお、大切にされています。マンさんの話です。

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「薬草バインチュンの歴史は長いですよ。私は子どもごろ、親に作ってもらいました。また、作り方を教えてもらいました。このバインチュンに使われる薬草は「グン」や「ガイ」などの木の葉で、森で取りに行くしかありません。私は現在、子どもと孫にこの作り方を教えていますよ。」

ムオン族の「薬草バインチュン」とは - ảnh 2

ムオン族の薬草バインチュンの独特さを作り出すのは薬草です。「グン」や「ガイ」、「カム」などの薬草は森で採った後、乾燥させます。その後、焼いてから、粉になるまでつきます。この粉ともち米を水に入れて、もち米が黒くなるまでよく混ぜます。そのため、このバインチュンは「黒バインチュン」とも呼ばれています。これらの薬草は独特な味を醸し出すとともに、解熱効果もあると言われています。

薬草バインチュンを作るために、10時間ぐらい茹でるなどかなりの時間がかかりますが、これは、家族全員が集まって楽しいひと時を一緒に過ごすチャンスです。子どもたちは、バインチュンを包む葉っぱを洗い、大人は豚肉を切ったり、コメを洗ったりし、手先の器用な人はバインチュンを包むという役割分担です。先ほどのマンさんは次のように語りました。

(テープ)        

「お正月が来ると、家族全員が、囲炉りの周りに座ってバインチュンの茹であがりを待つ間家族団らんを楽しみます。これは、お年寄りが子どもに我が民族の伝統文化や家族の誇りなどを伝えるチャンスでもあります。」

ムオン族の「薬草バインチュン」とは - ảnh 3薬草バインチュンを作っている女性たち

薬草バインチュンはイエンラプ県の特産品として多くの観光客が買い求めるお土産となっています。ホーチミン市から来た観光客の話です。

(テープ)      

「薬草バインチュンは美味しいですよ。もち米がねばねばして独特な味と香りがします。私は様々なバインチュンを食べましたが、薬草バインチュンに引き付けられました。たくさん食べていても、また食べたくてたまらないのです。」

こうした薬草バインチュンはこれからも、ムオン族の豊かな食文化を支えてゆくことでしょう。

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