土地神様を祀るヌン族の信仰


少数民族ヌン族の重要な信仰の一つに土地神様を祀るのがあります。新しい村の立地を決めた後、最初にやらなければならないのはその土地の神様を祀る社を建てることです。土地神様はその土地を管理する者で、村人の生活に大きな影響を与える存在と考えられています。そして、土地神様を祀る信仰は村を作った人たちの恩に報いるためのものでもあります。

土地神様を祀るヌン族の信仰 - ảnh 1
土地神様を祭る儀式

土地神様を祀る社の場所は祈祷師によって選ばれます。その場所は静寂で、広々とした空間に面していなければなりません。社の規模は村人が決めるので、村によって違います。社は木造の骨格で建設され、竹編を壁で、瓦葺き屋根です。ランソン省カオロック県タックダン村に住むヴォン・ヴァン・ズオンさんは次のように話しました。
(テープ)

「ヌン族の人々は土地神様を祀る信仰を大切にしています。どこに住むにしても、土地神様を祀る社を建てなければなりません。私の村には12の世帯がありますが、社は村の最も重要な施設です。社は信仰施設であるだけでなく、村人が集い、生活や村の問題や課題について話し合うところでもあります。」

土地神様を祀る社は神聖なところであり、昔は、社に入れるのは男性だけでしたが、近年、女性も入れるようになりました。そして、社の周辺は木を切ったり、作物を栽培したりしてはならないという掟もあります。

土地神様を祀る最大の儀式は旧暦のお正月の2日に行われます。村のそれぞれの氏族は、氏族の規模と発言力という順番で社に入って儀式を行います。そのお供え物は、去勢された雄鶏、おこわ、ちまき、お酒、もち米、菓子類などですが、その中で、鶏は一番大切な供え物です。各氏族の中で、最も肥えて美味しそうな鶏を供えられる氏族は生産や事業においてよい年を迎えられると考えられています。供え物から見ただけで、その年はその氏族が発展するかどうかを予想することができるという考えからです。

旧暦正月のほか、土地神様を祀る儀式は、清明節に当たる旧暦3月2日、端午節の旧暦5月5日、新米祭りが行われる旧暦の10月10日にも行われますが、何といっても最大規模の儀式はお正月です。ランソン省に住む民間文化研究者ロック・カンさんは次のように語りました。
(テープ)

「社とその周辺は村人が信仰生活を送る主要な場所です。新築や結婚、葬儀などの時、その家族はいつも、鶏やおこわなどの供え物を準備して社へ土地神様に祈願しに行きます。でも、一番大きくて神聖なのは何といっても、お正月に行われる儀式です。」

土地神様を祀る儀式が終わると、供えられたお酒は社の周りに注がれます。残りの供え物は持ち帰りますが、おこわは家畜の豚や鶏に食べさせます。そうすると、その年に、豚や鶏はよく発育すると考えられているのです。

こうした信仰はヌン族の精神の拠り処を反映しており、今もなお保たれています。


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