アメリカとキューバとの関係をめぐる問題


半世紀以上にわたって国交を断絶し、対立を続けてきたアメリカとキューバの国交正常化交渉がキューバの首都ハバナで始まりました。今回の交渉は歴史的な意義を持ち、両国間の関係の実質的な正常化に道を開くものと見られています。


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(写真:Vietnamnet)

1961年に国交を断絶し、敵対してきたアメリカとキューバの両政府は、1年半に及ぶ水面下での協議の結果、先月、国交正常化に向けた交渉を始めることで合意したと発表しました。これを受けて、両国の政府は、日本時間の21日、キューバの首都ハバナで国交正常化交渉を正式に始めました。交渉は21日から2日間の日程で行われ、初日は実務者レベルでアメリカに流入するキューバ難民の問題をおよそ3時間、協議しました。


信頼醸成

両国の担当者は、協議のあとの記者会見で「建設的な環境で協議することができた」と述べ、よい雰囲気で交渉が始まったことを明らかにしました。

具体的には、キューバ外務省のビダル北米局長は、「建設的な雰囲気だった」と評価した一方、アメリカ側から参加したリー国務副次官補も「生産的な議論を交わすことができた」と述べ、両国が共通の利益を探りつつ対話を重ねる姿勢を強調しました。

交渉を前に、アメリカ政府はキューバへの渡航や送金などの制限を緩和したのに対して、キューバ政府も反体制活動家の政治犯を釈放するなど、ともに関係改善に向けて積極的に動いており、敵対関係を解消する歴史的な転換点を迎えた両国の交渉の行方に注目が集まっています。

キューバとアメリカとの関係に関しては、フィデル・カストロ氏らを中心としたキューバの革命が1959年に当時のバティスタ政権を打倒しました。1961年にアメリカが対キューバ国交断絶を通告し、1962年には対キューバ全面禁輸に踏み切りました。

同年10月、アメリカはソ連がキューバに中距離ミサイル基地を 建設中と発表し、キューバを海上封鎖し、核戦争にも発展しかねない「キューバ危機」が起きました。1996年にアメリカは経済制裁強化法も成立させましたが、オバマ大統領は昨年12月、キューバを孤立させる過去の政策を「失敗」と認め、国交正常化協議の開始を発表しました。


用意でない道のり

今回の協議で、両国は国境警備で協力を確認する一方、アメリカに1年以上滞在するなどの条件を満たしたキューバ人に永住権を与えるアメリカの法律を巡って、意見の隔たりがあったということです。

キューバからの難民については、海で保護した場合は強制送還するものの、いったんアメリカ領内の陸地にたどり着けば、入国を認めるというもので、アメリカ側は「今後も続ける」と明言しました。キューバのビダル局長は「世界で、われわれだけが、ほかの国民にはない扱いを受けているのはおかしい」と述べました。

交渉は、2日目は高官レベルで行われ、キューバの人権問題や、大使館の再開に向けた調整などを協議し、国交正常化に向けたプロセスを確認する見通しですが、これに関し、双方の立場は隔たりがあるかどうかが焦点となっています。

 

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