イギリスのEU残留か離脱かをめぐる問題


EU=欧州連合の離脱をめぐるイギリスの国民投票を1週間後の23日に控え、移民の制限や主権の回復を訴える離脱派が勢いを強めています。しかし、世論調査で離脱派に土壇場でリードを許した残留派が、国民の引き留めに躍起になっています。


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議会でEU残留か離脱かについて演説したキャメロン首相

キャメロン保守党政権は「離脱すれば増税や歳出削減もやむなし」とちらつかせ、野党・労働党も元首相らが残留を呼びかけますが、なりふり構わぬ説得に批判も高まっています。


世論調査の結果

ほとんどの世論調査で、離脱派が支持を広げている実態が明らかになりました。  調査会社「ユーガブ」は13日、離脱支持が残留支持を7ポイント上回る46%となったとする最新の結果を公表しました。2日前に公表された結果で離脱派のリードはわずか1ポイントだけでした。

残留派はアメリカオバマ大統領らの「支援」を得て、離脱の経済リスクを訴え、支持率で優位に立っていましたが、離脱派は「移民問題」に争点を絞り、「EUにとどまれば、移民は抑制できない」と攻勢をかけて一気に形勢を逆転しました。


国際的影響

イギリスの国民投票が23日に迫る中、欧州は戦々恐々です。EUや加盟国からは残留を望む声が相次ぎますが、“介入”との反発を招けば逆効果となりかねないのです。イギリスが離脱すればEUの国際的影響力は低下し、各地で反EU勢力が勢いづきます。

EUとの関係を同様に問い直そうと「ドミノ現象」が起きる事態は悪夢といえる。アメリカ調査機関ピュー・リサーチ・センターが最近公表した調査結果では、対象10加盟国中、英仏スペイン、ギリシャの4カ国で「EU不支持」の回答が「支持」を上回りました。昨年調査した6カ国でも仏を筆頭に5カ国で、EU支持の比率が減少しました。


今後の行方

イギリスは離脱の場合、EUと新たな関係を交渉することになります。だが、ユンケル欧州委員長は「われわれがイギリスの機嫌をとることはない」と厳しい姿勢を示しています。離脱が“成功例”となれば、各地の反EU勢力に追い風となるからです。

EUはイギリスが望む単一市場へのアクセス維持の交渉でも優遇せず、「“離婚”が高くつくことを示し、EU防衛を最優先させるだろう」との声が漏れ伝わります。「EUの終焉(しゅうえん)を招きかねない」との危機感がその背景にはあります。

 

 

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