イギリスのEU離脱をめぐる問題

(VOVWORLD) - 既にお伝えしましたように、イギリスによるEU=欧州連合からの離脱をめぐる交渉は予定通りに、6月19日から、ベルギーのブリュッセルで始まりました。

この交渉はイギリスの将来だけではなく、EUの政治秩序にも影響を与えるとされています。計画によりますと、交渉は2年にわたって行われ、EU史上かつてなかったほど多くの複雑な課題を処理しなければなりません。

イギリスのEU離脱をめぐる問題 - ảnh 1                          (写真:Daily Mirror)

テリーザ・メイ首相政権は、欧州共同市場脱退や、税関に関する新しい合意、移民問題などを含む離脱計画を立案しましたが、6月8日行われたイギリス総選挙後、多くの変化が出ています。こうした中、離脱に関する法案がイギリス議会を通過するようにどうすれば良いか。これはメイ首相にとって、最も大きな試練となります。

 

英・国民投票から1年

イギリスのメイ首相率いる与党・保守党が今月8日の総選挙で、議会で過半数を割り、少数与党となったことは、イギリスの政情不安や、離脱交渉にマイナス影響を与えています。勢いを失うことから、保守党は他の政党から高い圧力を受け、自ら重大課題を決定できなくなっています。特に、EU離脱に関して、イギリス政界内にも亀裂があります。

経済問題についてですが、離脱交渉を巡る混乱を背景に、イギリス経済の先行きへの不透明感が高まっています。年初からはポンド安が進み、インフレ率が高まり、消費者に損害をもたらしています。

一方、EU諸国の経済は好転を見せ、国民の信頼度が高まっています。また、移民問題も焦点となっています。移民制限により、イギリスの人材不足が深刻化すると懸念されています。

これらはメイ首相に多くの試練をもたらしています。メイ首相は、「EUの単一市場からの脱退」や、「移民の制限」といった方針を打ち出していますが、今後の交渉で、それを維持できるかどうかは不透明です。

イギリスの問題点としては、政情不安のほか、ポンド安や、インフレ、人材不足などが浮上しています。EU離脱により、それらの問題は深刻化する恐れがあります。

 

問題解決のためのロードマップ

アナリストらは「交渉が難航するのは必至だ」と予測しています。そして、実際、両者は歩み寄ることのない姿勢を見せています。初日の交渉で、イギリスは「離脱の条件」と「離脱後の通商関係」の2つを並行して議論したいとしていますが、EU側は、まず「離脱の条件」だけを議論したいとしています。

双方は「秩序立った」離脱を目指していますが、イギリスではメイ首相の求心力の低下で単一市場脱退という「強硬離脱」(ハードブレグジット)の方針も揺らぎ、イギリスの姿勢が定まらないまま、「無秩序」に離脱する事態も懸念されています。

会合では、毎月1週間ずつ交渉する方針で一致しました。次回は7月17日に始まる週に開く予定ですが、メイ首相がイギリスの離脱戦略をしっかりまとめられるのか疑問視する見方もある中で、交渉の残り時間だけが刻一刻と短くなっています。

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