アメリカを訪問中のイスラエルのネタニヤフ首相は、アメリカ共和党のベイナー下院議長の招待で、3日にアメリカ議会で演説し、イランと米欧などによる核協議の進展に反対を表明する方針です。
ネタニアフ首相(写真:VNA)
ネタニヤフ氏は1日、アメリカを訪問する前に「歴史的な使命のために出発する。すべてのイスラエル人の安全を強く懸念している。私たちの未来のために最大限のことをする」と強調しました。
オバマ政権から反発される訪問
共和党のベイナー下院議長の要請を受け入れたネタニヤフ氏の3日のアメリカ議会演説は、アメリカ政府内でも反発が広がっています。オバマ大統領の民主党から議員35人前後が外交儀礼に反するなどとして演説をボイコットするとみられています。
オバマ氏や政権閣僚らは、3月17日 のイスラエル総選挙に影響を与える可能性があるためアメリカ政府の慣例としてネタニヤフ氏とは会談を行わないとしています。ライス大統領補佐官は「アメリ カとイスラエル関係に有害だ」と断じました。アメリカのケリー国務長官も「政治問題化を避けるべきだ」と中止を求めています。
アメリカの主要メディアは、 ネタニヤフ首相の3日のアメリカ議会で演説する際に、バイデン副大統領が外遊中で首都ワシントンを離れていると伝えました。外国要人が上下両院合同会議で演説する際に、上院の議長を兼ねる副大統領が臨席しないのは異例だということです。
一方、アメリカ のアーネスト大統領報道官は、記者団に「大統領は、両国関係を党派政治の対象としないことがイスラエルの国益に最も資すると信じている」と語ると共に「政 党政治が両国関係の足を引っ張ることがないよう望んでいる」と述べました。
政治的意図
ネタニヤフ首相は2日、ワシントンで開いたAIPAC=アメリカ・イスラエル広報委員会の会合で講演し、3日 のアメリカ議会演説について「オバマ大統領を見下す意図はない」と釈明しました。また、イラン核開発を巡り、アメリカなどがイランと合意を目指しているこ とについて「イランの核能力の強化につながり、イスラエルの存在を脅かす」との考えを示してきました。
ネタニヤフ氏は3日のアメリカ議会演説の内容につい て「イランの核の脅威を語る。アメリカ国内の党派対立に加担するつもりはない。これまで民主、共和両党の大統領とともに仕事をしてきた」と説明しました。 そのうえで「イランは最大のテロ支援国家だ。核兵器を持ったときのイランの脅威を想像してほしい」と訴えました。
一方で、安全保障上の協力や情報共有など について「アメリカとイスラエル関係はかつてなく強固だ 。オバマ氏の支援にも感謝している。何人かの人が今回の訪米を誤解しているのは残念だ」と述べました。
ネタニヤフ氏の訪米は、接戦が予想される今月17日のイスラエル総選挙を控え、アメリカ共産党と連携し、イランに対して強硬な姿勢を示すことで、安全保障面で国民向けにアピールする狙いがあるとみられています。