(VOVWORLD) - イランと米欧など6カ国との核合意は2015年の締結以来、最も深刻な局面を迎えたといえます。
トランプ米大統領は12日、イランと欧米など6カ国が結んだ核合意について「合意内容の修正ができなければ即座に離脱する」との声明を発表しました。イランと米欧など6カ国との核合意は2015年の締結以来、最も深刻な局面を迎えたといえます。
イランのアラク核施設 |
真の理由は
トランプ氏は、大統領選の前にも、合意には「ひどい欠陥」があるとして、修正を求めました。合意内容の修正に向けては、イランの軍事施設への査察強化のほか、イランが核合意を順守していないと判断した場合の経済制裁の即時再開、核兵器開発を行えないようにウラン濃縮の無期限停止や、弾道ミサイル開発の制限を加えることなどを挙げました。
トランプ氏が意図するのは、イランのウラン濃縮活動の無期限停止や弾道ミサイル開発の抑止を合意内容に盛り込み、国際的な対イラン包囲網を仕掛けることです。背景には、中東各地の反米勢力をイランが支援していることがあります。
トランプ政権は、イランが中東地域で米国に敵対する勢力の支援を活発に続けていることを警戒しています。アメリカはイランがシリアのアサド政権や、イラクのイスラム教シーア派武装勢力、レバノンのイスラム教シーア派武装組織ヒズボラなどに資金や武器を供給していると分析しています。アメリカと同盟関係にあるイスラエルやサウジアラビアなどの安全保障を脅かしていると見なしているのです。
修正できるか
しかし、国際社会にはアメリカの修正要求への賛同は広がっていません。核・ミサイルの実戦配備へ突き進む朝鮮民主主義人民共和国と異なり、イランは(IAEA)国際原子力機関の査察を受け入れ、昨年11月の最新報告書でも違反行為がないとされています。
核合意当事国であり、アメリカの同盟国でもあるイギリス・フランス・ドイツの外相らも、名指しを避けつつ、アメリカに自制を求めました。また、中国の王毅外相は13日、イランのザリフ外相と電話会談し、合意を順守する重要性を確認し、アメリカ側の合意破棄の動きをけん制しました。そして、ロシアのラブロフ外相は、核合意を破棄すれば、朝鮮民主主義人民共和国との対話にも悪影響が及びかねないとの認識も示しました。
2年前に、イランと欧米など6カ国が結んだ核合意は、世界の平和と安定を脅かすイランの核問題の有効な解決策であると見られました。しかし、実際はそう簡単なことではないでしょう。