イランの核開発問題


イランの核開発問題に関して、欧米など6カ国は最終合意達成のために急いでいますが、イランのアラグチ外務次官は「最終合意の期限が6月30日以降に先送りされ、交渉が続くかもしれない」と述べました。これは、消極的な兆と見られています。

イラン核問題の包括的な解決に向け、イランと欧米など6カ国は5月27日、ウィーンで次官級協議を再開しました。また、ケリー国務長官とイランのザリフ外相も5月30日、ジュネーブで直接会談しました。最近の協議では、イランの核関連活動の透明性確保をめぐる対立が表面化し、欧米による制裁解除の手順をめぐり難航しました。


立場の隔たり

イランと6カ国は4月に包括的解決に向けた「枠組み」で合意し、最終合意案の文書作成に着手しました。しかし、イランへの経済制裁では、同国が最終合意の中身が履行されるのと同時の解除を求める一方、欧米側は段階的な解除を提案し、隔たりが大きいです。

アラグチ氏は「良い合意に至ることが先決。経済・金融制裁が全て解除されなければ、イランはウラン濃縮活動の大幅な制限などを履行しない」と述べ、イランと6カ国の同時履行を強調しました。アラグチ氏はまた、国際原子力機関が核兵器開発疑惑のある軍事施設の査察を認めるよう求めていることについて、これに反対するイランと主張が異なるとし、IAEAなどと詳細を詰めるとしました。

一方、6カ国側を主導するアメリカ国務省は「いかなる延長も考えていない」と一連の発言を否定しました。


悲観的な見方

実際、アメリカなどは最終合意達成のために努力する姿勢を見せています。アメリカのケリー国務長官は先ごろ、自転車で転倒し右足を骨折しましたが、ハーフ国務長官補佐官は6月1日の記者会見で、「長官は今月30日を交渉期限とするイラン核協議へ引き続き主体的に取り組む意向だと明らかに、さらに「長官は定められた日程を順守する」と述べました。

また、オバマ大統領は6月2日、イスラエルのテレビ局のインタビューで、イスラエルのネタニヤフ首相が米欧など6カ国とイランとの核協議に反対していることについ て「軍事的解決では一時的だ。核協議は核兵器を20年間棚上げするものだ」と述べ、核協議の有効性を訴え、ネタニヤフ氏に理解を求めました。しかし、悲観的な見方も出ています。

フランスのアローアメリカ大使は「イラン核問題解決に向けた最終合意は技術的な詳細を詰める必要があることから、6月30日までに実現する可能性は低い。対イラン制裁の解除は最も早くて年末以降になる」との見解を示しました。

こうした中、アナリストらはアローア大使の見解に賛同し、「双方間の隔たりが埋められない限り、最終合意が達成できない」と指摘しています。

 

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