エルサレム首都認定で中東が不安定化

(VOVWORLD) - 効果的な対策がなければ、中東地域はまた、新しい暴力の悪循環に陥る恐れがあります。

アメリカのトランプ大統領が6日、エルサレムをイスラエルの首都に認定すると表明したことを受けて、各国から批判や懸念の声が上がっています。特に、中東地域を始め、イスラム各国では、反米デモが多発しており、暴力化に発展したデモが少なくないです。効果的な対策がなければ、中東地域はまた、新しい暴力の悪循環に陥る恐れがあります。

エルサレム首都認定で中東が不安定化 - ảnh 1 イスラエル兵士に石を投げているパレスチナ人

デモ拡大

パレスチナ人とイスラエル治安部隊の衝突では11日までに4人が死亡し、1400人以上が負傷しました。エジプトやレバノン、トルコなど中東地域の諸国でも大規模な反米デモが多発しています。

そして、イスラム教徒の反発は世界に広がっています。パキスタンでも10日、カラチにあるアメリカ領事館の前で抗議集会が行われ、デモの参加者はアメリカとイスラエルの旗に火をつけました。インドネシアの首都ジャカルタでは11日、イスラム団体などが主催した抗議デモがアメリカ大使館前で開かれ、多数の市民が参加しました。一部の参加者がトランプ大統領の写真を燃やす場面もありました。マレーシアでもアメリカ大使館をイスラム教徒が取り囲む事態に発展しました。

深刻な事態への恐れ

トランプ大統領の決定はアメリカの同盟国からも批判を受けています。各国首脳らの反応を見ると、親米国を含めほぼ例外なくトランプ大統領の決定を、「国連決議などに反する」「中東のみならず世界中を不安に陥れる」などと批判しています。アラブ諸国が激しく批判するのは当然ですが、イギリスのメイ首相、ドイツのメルケル首相、イタリアのジェンティローニ首相ら主要国も同じトーンで批判しています。

EU欧州連合のモゲリーニ外交安全保障上級代表は、EUは引き続き国際的合意を尊重するとして、「イスラエルとパレスチナの紛争で唯一の現実的な解決は、エルサレムが両国の首都であることに基づく」と述べ、トランプ大統領の決定を批判しました。そして、8日に開かれた国連安全保障理事会の緊急会合では、イギリス、フランス、ドイツ、スウェーデン、イタリアの5カ国が共同声明を発表し、アメリカの決定はパレスチナの和平の見通しの助けにならないと非難し、アメリカに対し、同地域の和平に向けた具体的な提案を示すよう求めました。

しかし、アメリカとイスラエルが柔軟な姿勢をとる兆しを見せていない中、中東地域の緊張はエスカレートしつつあり、中東和平プロセスの実施可能な解決策は難航すると見られています。

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