ターンブル首相 「写真:The Guardian)
オーストラリアで今月2日に、29年ぶりの上下両院解散に伴う総選挙の投開票が行われました。ターンブル首相率いる与党、保守連合(自由党、国民党など)と、3年ぶりの政権交代を目指すショーテン党首の野党、労働党の対決となっています。
オーストラリアのABC公共放送は、総選挙について、これまでの開票の結果、議会下院150議席のうち、与党・保守連合が68議席、野党・労働党が67議席、無所属などが5議席の獲得を確実にしたものの、10の議席は予測がつかないと伝えています。
与野党いずれも過半数に届かないなか、5日から不在者投票と郵便による投票の開票作業が始まりました。
ターンブル首相の冒険の計算
不在者投票と郵便投票の総数は全体のおよそ20%に当たる300万票近くに上るとみられており、ターンブル首相は5日の記者会見で、「結果が出るまでにはまだ数日かかるが、われわれが議会で多数派となり政府を作る」と述べて、改めて過半数の獲得に自信を見せました。
今回の総選挙は、今年5月にターンブル首相が、連邦総督に議会の上下両院の解散を要請し、決定を受けて行われるもので、上院の76議席と下院の150議席のすべての議席で争わるとしています。
選挙戦で、ターンブル首相率いる与党・保守連合は、法人税の減税などを通じた経済の成長や失業対策の強化による雇用の拡大を訴えています。これに対して野党・労働党は、ターンブル政権の政策で恩恵を受けているのは富裕層だけで、庶民はないがしろにされ、格差が広がっているなどと批判し、社会保障制度の充実や子どもの学力向上のための教育改革などを訴えています。
ターンブル首相は去年9月、当時のアボット首相を党首選挙で破って就任しましたが、経済政策を巡って国民の不満が高まり、支持率は下落傾向にあります。
連携方式で政府を発足
下院(定数150)で与党保守連合は現在の90から大きく議席を減らし過半数の76に届くかぎりぎりの情勢。過半数に達しないことが確定すれば、保守連合と最大野党労働党はそれぞれ、小政党や無所属議員との連携交渉で政権を担う多数派形成を目指します。
ターンブル首相は「過半数の獲得と政権維持に自信がある」と主張しましたが、ハングパーラメントの可能性が高くなっていることから、それぞれ1議席を確保した緑の党や南オーストラリア(SA)州拠点のニック・ゼノフォン・チーム(NXT)党、クイーンズランド州選出のボブ・カッター下院議員ら無職属系3議員への接触を始めています。与野党、どちらが政権を握るか見通しが立たない状態が続くことも予想されます。