ギリシャのチプラス首相
ギリシャの国民投票で、緊縮策に反対する結果となったことを受け、債権団などは対応を協議しましたが、依然として、見通しの立たない状況が続いています。
ギリシャの国民投票がEU欧州連合の求めた緊縮策を拒む結果となり、財政危機に直面するギリシャへの金融支援交渉の行方は一段と混迷してきました。 ギリシャはユーロ残留へ新たな金融支援を求める構えでした。民意を追い風に緊縮緩和や債務減免を求める構えのチプラス政権に、EUはどこまで譲歩するのか。難 しい判断を迫られます。
EU:ギリシャ協議のための扉ひらく
ECB欧州中央銀行は6日、ギリシャが求めていた国内銀行への資金供給枠の増額を拒否するとともに、供給時に要求する担保の基準を厳格化するこ とを決めました。ドイツとフランスの首脳は6日会談し、ギリシャに対し、支援協議再開に向けた具体案の提示を要求しました。EUはギリシャへの圧力を一段と強めました。ドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領はこの日、EUなどの債権団が求めた財政緊縮策がギリシャの国民投票で否決されたことを受け対応を協議しました。AFP通信によりますと、オランド大統領は終了後、「協議のためのドアは開かれている」と呼びかけました。メルケル首相は「緻密な計画 を待っている」と語りました。
ギリシャの姿勢
ギリシャのチプラス首相は、EU側に債務の削減などを求める考えを示したうえで、「ギリシャ国民の明確な民意を受けての交渉だ」として、国民投票で、財政緊縮策の受け入れに反対した国民の意思を合意に反映させると強気の姿勢を示しました。
ギリシャ情勢を巡り、IMF国際通貨基金のラガルド専務理事は6日、ギリシャのチプラス首相と電話で会談しました。ギリシャ政府はIMFに対し、6月30日が期限だった約15億ユーロ(約2000億円)の
返済を行わず、事実上の債務不履行状態に陥りました。IMFは「延滞国」に対し、追加的な金融支援を行っていないということです。
ユーロ圏ではフランスやイタリア、スペインなどがギリシャに融和的でしたが、ドイツやフィンランド、スロバキアなどが一貫して厳しい態度を示しており、交渉の難航は必至とみられます。
交渉が長引いたり、決裂したりしてECBが持つ国債を償還できなければ、ECBがギリシャの銀行に実施中の緊急支援を打ち切る恐れがあります。その場合、銀行が破綻し、経済が混乱するのは必至だということです。ギリシャ政府が対応のため旧通貨ドラクマや借用書を発行すれば、ユーロ圏離脱の一歩となります。
ただ、EUにはEU脱退の規定はあっても、ユーロ圏のみの離脱を想定した規定はないということです。こうした事態にEUがどう対処するかは未知の領域でもあります。