半世紀余りにわたって内戦を繰り広げた南米のコロンビア政府と左翼ゲリラFARC=コロンビア革命軍との和平合意の是非を問う国民投票が2日行われ、反対票が賛成票を上回り、合意は否決されました。和平を推進してきたサントス大統領は「結果を認める」と述べ、内戦の終結は一転して不透明な情勢となりました。
サントス大統領とFARCのリーダー
コロンビアでは、コロンビア革命軍と政府との間で内戦が続き、市民を含む20万人以上が犠牲になっています。
投票の結果 予想外
コロンビア政府は4年近くにわたる交渉の末、FARCとの和平合意をまとめ、2日、合意内容への賛否を問う国民投票を実施しました。 その結果、反対票の割合は50.2%、賛成は49.8%と、反対が賛成をわずか0.43ポイント上回りました。事前の世論調査では賛成が6割程度で、反対の3割台を上回っており、地元メディアは「合意の承認は確実」としていました。
しかし、合意文書はコロンビア世論を二分する議論になっていました。反対する人々は、FARCが多くの人が命を失い住まいを追われる原因を作ったのにもかかわらず、禁固刑を逃れていると怒りを表明していました。特別法廷で罪を認めれば、服役に代わり最長8年の社会奉仕活動を行うといった合意内容をめぐり、「譲歩しすぎだ」との批判が出ていました。
和平合意継続への取り組み
サントス大統領は和平合意が否認されたことを認めましたが、「私はあきらめず、大統領である最後の瞬間まで和平を模索し続ける。それが子どもたちによりよい国を残す道だからだ」と述べ、和平交渉の舞台となったキューバに急きょ交渉団を派遣し、FARC側と今後の対応を協議することを明らかにしました。
革命軍も、「変わらず平和を希求し、言論のみを武器に未来を構築していく姿勢を貫く」と呼応する声明を発表しており、戦闘が再発する恐れはないとみられます。 和平合意が否決されたことを受け、サントス大統領は3日、和平交渉団を率いたデラカジェ団長ら3人を合意反対派との対話担当者に任命しました。
反対派も担当者3人を決めました。今後予想されるFARCとの再交渉を巡って賛成派と反対派の協議が始まる見通しになりました。
今後は、合意内容を国民が受け入れられるよう修正できるかが、和平実現の鍵となりそうですが、FARCは自身にとって厳しい内容には抵抗すると予想され、先行きが見通せない状況です。