(VOVWORLD) - 既にお伝えしましたように、先週、カタルーニャ州の州議会による一方的な独立宣言を受け、スペインのラホイ首相は、プッチダモン州首相の解任や、自 治州議会の解散を決定しました。これは、カタルーニャの分離独立問題に対するスペイン政府の強固な姿勢を示すものと見られています。
スペイン北東部のカタルーニャ州の州議会は10月27日、スペインからの一方的な独立を宣言する議案を賛成多数で可決しましたが、これは中央政府に対する挑発的な行為と見られています。ラホイ首相は、カタルーニャ自治州議会が不法に独立宣言する行為を「犯罪だ」としています。
バルセロナ市での独立反対派のデモ(写真:ロイター)
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消極的な影響
分離独立は、すべてのカタルーニャ住民の希望ではないといえます。独立に反対する市民らが大規模なデモを行ったことはその証です。29日午後0時からバルセロナ市中心部で始まったデモには、およそ100万人の市民が参加しました。
参加者は「スペイン万歳」、「カタルーニャはスペインの一部だ」と声をあげ、州首相を罷免されたプッチダモン氏について「訴追しろ」などと訴えました。また、スペインの首都マドリード市でも、同国の統一支持を表明する住民数千人が市中心部のコロンブス広場に集まりデモ行進を行いました。
一方、独立派がカタルーニャ州政府庁舎前で抗議行動を実施しました。アナリストらは、今後の数日間、その緊張が増加する可能性があると警告しています。特に、経済への長期的な影響を懸念する市民も多く、有力紙エルムンドが29日に伝えた最新の世論調査では、州議会で独立賛成派の政党を支持すると答えた人は42.5%、独立反対派の政党を支持する人は43.4%と、真っ二つに割れています。
他方、国際社会もカタルーニャの独立を支持していません。これまで、この独立を認める国は一カ国もありません。フランスや、ドイツ、アメリカ、メキシコなど複数の国々は、「カタルーニャの独立を認めない」と発表し、スペインの統一を保護するためのラホイ首相の努力を支持しています。
EU=欧州連合のトゥスク大統領は27日、「EUの立場は変わらない。対話の相手はスペインだけだ」として独立を認めない姿勢を見せています。こうした中、自治州選挙の早期開催はその事態の最良の打開策と評されています。
選挙のための準備
12月21日の州議会選は、中央政府のラホイ首相が10月27日に実施を発表しました。中央政府の直轄統治の下で州議会選を行い、新政府を発足させた後に自治権を復活させる狙いとみられますが、スペイン中央政府はこの選挙に期待をかけています。
スペインのアルフォンソ・ダスティス外相は、「プッチダモン氏が今年12月の時点で収監されていなければ、再選を目指すことも可能だ」と述べています。そして、プッチダモン氏が所属する政党も選挙に出馬すると表明しました。しかし、スペインの有力紙が行った世論調査によりますと、独立派は優勢を徐々に失っています。
この数十年間の最悪とされるスペインの現在の危機は緊張がエスカレートしています。この事態が長引くと、カタルーニャをはじめスペインに大きな損失をもたらすことが懸念されています。