タイの不安情勢

タイの首都バンコクの繁華街で17日に起きた爆発は、少なくとも22人の命を奪いました。これはこの2年、タイで発生した最も深刻な事件です。この爆発はタイ政界における最近の動きにつながるかどうかの疑問が浮上しています。

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(写真:ロイター)

17日、多数の死傷者を出す爆発事件が起きたばかりのタイの首都バンコクで、18日も別の爆発事件が発生し、タイの警察は使われた爆弾の特徴から同じグループによる犯行の疑いがあると見て調べています。バンコクの繁華街にある観光地で起きた爆発事件では、これまでに中国人など20人が死亡、日本人の男性1人を含む125人がけがをしました。

最近の主要な動き

タイでは去年の軍事クーデター以降、軍主導の暫定政権のもとで治安への取締りが強化されていただけに2日続けて爆発が起きたことで不安が広がっています。

プラユット・チャンオチャ首相率いるタイの軍事政権が発足してからこのおよそ1年、タイの政治的情勢がかなり安定していました。しかし、最近、懸念すべきいくつかの動きが出てきました。去る5月、タイ軍事政権は、新憲法を国民投票にかけ、その後に民政復帰に向けた総選挙を早ければ2016年8月に予定しています。しかし、新しい憲法の草案内容を巡ってクーデターで政権を失ったタクシン元首相派などから早くも批判が出ています。プラユット首相は去る4月、国内外のメディアを前に会見を開き、内閣発足後の経済や治安の情勢について成果を強調しました。一方で、政権に批判的な報道への不満をあらわにし、「質が低く、統制できないような民主主義は国の発展に役立たない」と述べ、民主主義には制限が必要だという考えを示しました。新憲法の草案では、選挙に強いタクシン元首相派の弱体化を狙う内容となっていて、情勢が混乱すれば、総選挙の実施時期に影響が及ぶ可能性があるとされています。

その他、タイの総選挙が2017年まで延期する可能性がでています。昨年、軍政が発足された時、タイの政権は民主主義回復のため、選挙をしたいといいましたが、後に、その選挙を延期しました。

また、7月27日、暫定政権の発足から1年を迎える9月かそれより前に内閣改造を行う可能性があることを示唆しました。この機に、プラユット首相は記者団に対し「一部の閣僚を入れ替える可能性がある。内閣改造は暫定政権発足から1年が経つ時期に行う可能性がある」と述べました。一方、2014年、タイの経済成長率は0,9%しか達成していませんでした。

新しい暴力の波

近年、タイ政府は不安情勢を改善するため様々な措置をとりましたが、希望通りの成果を収めていません。今回の爆発はその一例です。現在、タイ捜査当局はこれらの爆破事件の原因を究明していますが、今後、プラユット首相の政権が治安維持のため、さらなる強固な措置をとることでしょう。

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