テロ 2016年の世界の安全保障上の最大問題?


2016年がまもなく終わりますが、トルコ、ベルギー、エジプト、フランスなど多くの国でテロ事件が最も多発した年となるでしょう。テロは世界の安全保障上の最大問題になる恐れがあります。

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カイロの大聖堂での爆破事件(写真:AP)

多発するテロ事件

中東地域はこの数十年、世界で最も不安定な地域ですが、今年はテロ攻撃の多発で世界の注目を集めています。特に、この数日、中東地域の大国であるエジプトとトルコでは、少なくとも100人の死者と数百人の負傷者が出た大規模なテロが相次いでいます。

エジプトの首都カイロでは11日、エジプトに伝わるキリスト教の一派、コプト正教の聖マルコ大聖堂で爆弾が爆発し、少なくとも25人が死亡しました。一方、イスタンブールでは10日夜、中心部のサッカースタジアム近くで自動車爆弾と自爆による2回の爆発があり、44人が死亡しています。非合法武装勢力「(PKK)クルド労働者党」の分派組織が犯行声明を出しました。

こうしたテロの多発は、新しい暴力の渦中に中東地域を巻き込む恐れがあるとの意見が多くのアナリストから出されています。

テロの危険さが増す

テロは中東地域だけでなく、世界の多くの地域にも広がっています。アメリカ国土安全保障省によりますと、2016年に、西側諸国を目指すテロ計画は約100件で、その成功割合は44%にのぼっています。2015年の成功割合は33%でした。

アメリカのテレビNBCニュースは、ホワイトハウスの秘密資料を引用し、2016年、イスラム過激派組織ISイスラム国家は、昨年の2倍となる18カ国に活動を広げたと報じました。ISは、220億ドルの年間収入、及び、約20万人の勢力ということで、世界最大テロ組織とされているだけでなく、その危険さをも増しています。

ISは、「孤独なオオカミ」と呼ばれている自生的なテロリストによるテロ攻撃を行う方針であると言われているのです。84人の死者と202人の負傷者が出た2016年7月のフランスのニーストラックテロ事件や、20人以上の死傷者が出た7月のドイツのミュンヘン銃乱射事件はその証です。

紛争の多発、貧富の格差、難民の危機はテロの多発とその危険さの増加につながると見られています。そのため、テロとの戦いを成功させるためには、テロリストを拘束するというより、テロリストになる原因を解決したほうがよいと見られています。


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