(VOVWORLD) - 近年、ベトナム政府は水を最も重要な資源の一つと見なしており、水資源管理を強化しています。その中で、川の水資源管理と川の環境保護を優先課題としています。
ベトナム全土には、重要な川が13本あり、その中で、北部と南部には2大河川であるホン川とメコン川が流れ、広大なデルタ地帯を形成しています。そのほかの多くの河川は急流で、流域地区の保水力が小さく、洪水と渇水の被害が多いです。ベトナムの主要産業は農業、特に稲作が盛んであり、水資源の約8割は灌漑に使われています。最近は鉱工業、建設、各製造業など2次産業が大きなウエートを占めるようになり、水需要が急拡大しています。
しかし、近年は工業化に伴う水質汚染が問題となっています。水質汚染が報告されているのは主に河川であり、その汚染源となっているのが産業排水と生活排水です。特に、工業団地が集まる地域では、水質汚染が深刻になっています。生産活動と人間の生活の他、気候変動も川の水質に大きな影響をもたらしています。気候変動の影響により、塩害や水不足などが大きな問題となっています。
こうした事態を前に、ベトナムは水資源の管理と持続可能な開発を目指す法整備を進めています。ベトナムにおける水資源に対する規制は、環境保護全般を定めた法律である環境保護法に加えて、水資源管理全般に関する水資源法が存在します。その中で、2020年の環境保護法は水質管理に関する多くの規定を盛り込んでおり、水質管理に携わる各省庁の役割分担を明らかにしています。
また、ホン川とメコン川の下流に位置するベトナムにおける3分の2の水は近隣諸国からこの二つの川に流れ込むものであり、越境水資源の持続的な開発へ向けた国際協力の促進はとても重要であると見做されています。ベトナムはASEAN東南アジア諸国連合やASEMアジア欧州会合などの枠内で、水資源管理における国際協力を進めています。
こうした取り組みにより、ベトナムでの水資源管理が徐々に整備され、ベトナムの持続可能な発展に寄与するでしょう。