世界各国、アジア系に対するヘイトクライム対策を強化

(VOVWORLD) - アメリカをはじめ多くの国で、アジア系の住民を標的にする襲撃事件が激増している中で、アジア系住民を保護する団体や、運動が誕生しています。これらの団体や、運動は世界の人々に対し、人種差別をせず、団結を強化するよう呼びかけています。

これまでも、アジアとアフリカ系の住民への差別は過去にもありましたが、新型コロナウイルス感染症によるパンデミックが拡大する中で、悪化しています。欧米の多くの人々はアジアがパンデミックの病原だと思っているからです。

世界各国、アジア系に対するヘイトクライム対策を強化 - ảnh 13月16日、アメリカ・ジョージア州アトランタで、銃撃事件があったマッサージ店と捜査当局者ら=AP

アメリカにとどまらないヘイトクライム

アメリカのアジア太平洋諸島系の住民に対するヘイトクライムを調査する団体「ストップAAPIヘイト」によれば、2020年3月19日の設立から21年2月28日までの間に、3795件の事例が報告されています。女性の被害者数は、男性の2.3倍に上るというです。この問題はアメリカだけにとどまりません。イギリスからオーストラリアに至るまで、欧米系諸国では新型コロナウイルスの流行に伴い、東アジア系や、東南アジア系の住民に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)が激増しています。

イギリス・ロンドン警視庁の統計によりますと、2020年6月から9月に発生した東アジア系住民に対するヘイトクライムは200件を超え、前年同期に比べて96%増加しました。フランスでは今回の新型コロナウイルスのパンデミックをきっかけに、アジア系住民に対する人種差別が一層悪化しています。2019年はパリ圏内だけで2日に1件の頻度でアジア系に対するヘイトクライム事件が発生したとの情報も出されました。これは欧州だけの問題ではありません。

オーストラリアのシンクタンク「ローウィー研究所」が3月にまとめた報告書によりますと、中国系オーストラリア人の3分の1以上が過去1年の間に出自を理由に違う扱いを受けたり好ましくない扱いを受けたりしたことがあると回答しました。18%は中国系であることを理由に身体的暴行や脅迫を受けたと答えています。

ヘイトクライム対策への努力

こうした中、多くの国はヘイトクライム防止対策を強化しています。アメリカで新型コロナウイルスの感染が続く中、アジア系の住民に対する差別や暴力事件が相次いでいることを受けて、バイデン大統領は3月30日、対策を発表しました。この中では、新型コロナウイルス対策として設けられた予算を活用し、アジア系の住民に対する暴力事件の被害者に支援を行うとしています。また、同国司法省はそのHPに、日本語や中国語などで通報のしかたを載せ、被害者からの情報提供を促すほか、取締りを強化するため、FBI=連邦捜査局が各地の警察と新たな研修を始めるとしています。バイデン大統領は「黙っていることはできない。アジア系アメリカ人への攻撃はアメリカの価値観に反し、やめなければならない」とツイッターに投稿し、アジア系の住民に対する差別や暴力事件を非難しました。

一方、ドイツではインターネット上の極右及びヘイトクライム対策法が施行されています。この法によりインターネット上でヘイトクライムを犯したり、他人に嫌がらせをしたり、脅したりした者はより迅速に確認されて重い罰則が科されます。他方、スペインや、フランスなどで、社会活動家は、「私はウイルスではない(I Am Not A Virus)」などのヘイトクライム防止対策運動をスタートさせました。特に、国連のグテーレス事務総長は声明を発表し、「アジア系の人に対する暴力の増加を深く懸念している」としたうえで、「人種差別や人権侵害を受けている人と団結する」と述べました。

世界各国の努力により、アジア系に対するヘイトクライムが一日も早く食い止められることが期待されています。

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