プーチン大統領と習近平国家主席(写真: Sputnik)
ロシアのプーチン大統領は先ごろ、北京でAPEC=アジア太平洋経済協力会議に合わせて、中国の習近平国家主席と会談しました。中国とロシア代表は両首脳立ち会いのもと、ロシアのシベリア産天然ガスを西シベリアの国境経由で中国に送るパイプライン計画や金融、高速鉄道、情報技術、宇宙の覚書など17の合意文書に署名しました。プーチン大統領と習主席の会談は今年5回目となっています。
相互利益の関係
ウクライナ危機は北東アジアにも米ロ対立、中ロ接近という形で地政学的な変化を起こそうとしています。
ロシアは、ガスの主要輸出先である欧州の景気減速や、ウクライナ危機で欧州がエネルギー源の脱ロシア依存に取り組むなか、アジアにガスを売り込む東方シフトに力を入れており、中国がその最大市場となっています。
また、ロシアのペスコフ大統領報道官によりますと、両首脳は軍事技術協力など多くの分野の決済を中国の通貨・人民元で行う可能性について協議しました。ロシア中央銀行と中国人民銀行は先月、互いの通貨を融通し合う通貨交換協定を締結しており、経済面の連携強化と米ドルへの依存度を下げる動きが急速に進んでいます。
アジア欧州大国関係作り
実際、APEC首脳会議に合わせて行なわれた会談で署名された合意書は、ロシアにも中国にも有利であり、単なる経済的意義だけでなく、政治面でも有意義なものです。プーチン大統領は「ロシアを孤立させる如何なる努力は誤ったことだ。ロシアは自国の地位を回復する為に、欧州に依存しない道を選ぶ」というメッセージを送りました。
中国とロシアの間では東シベリアから極東の国境を経由するガスパイプライン「シベリアの力」が9月に着工済みで、ロシアは新たに西ルートを整備することで対中ガス輸出の拡大を目指します。北京で会見したロシア国営天然ガス企業ガスプロムのミレル社長は、東西のパイプライン実現で「中国向けのガス供給量は現在の欧州向けを上回る」との見通しを示しました。計画によりますとガス供給は30年間で、東ルートは年間380億立方メートル、西ルートは同300億立方メートルを見込んでいます。
今回の首脳会談では、相互利益関係を基礎にして、プーチン大統領と習近平国家主席は親愛溢れる言葉を交わしあいました。習主席は「国際情勢が激変しても、中露関係の発展を外交で優先しており、あらゆる分野での協力を拡大させたい」と述べました。プーチン大統領も「国際法の枠内で平和を維持し、より安定化させるため、中露の統一行動は極めて重要だ」と応じました。
ロシアと中国は、自らの役割を示しています。