中東和平プロセスの暗い先行き

(VOVWORLD) - 既にお伝えしましたように、パレスチナや、世界の多くの国の反発にもかかわらず、アメリカはエルサレム駐在大使館を開設しました。これは、「火に油を注ぐ」行動であり、中東の複雑な情勢をさらに複雑化させるものと批判されています。

アメリカのトランプ大統領は、去年12月、エルサレムをイスラエルの首都と認定し、14日のイスラエル建国70年に合わせて、現在別の場所にある大使館をエルサレムに移転しました。これに対し、エルサレムを将来樹立する国家の首都と位置づけるパレスチナは猛反発するほか、アラブ諸国も憤怒しています。

中東和平プロセスの暗い先行き - ảnh 1                       (写真:THX/VNA)

特に、アメリカ大使館のプレゼンスは中東地域での衝突の勃発に繋がるとも懸念されています。

ガザ地区での流血

2018年5月14日は、ガザ戦争後の2014年以来、最悪の「流血の日」となっています。最新データによりますと、ガザ地区のイスラエルとの境界付近で起きた抗議デモで、14日、少なくとも58人が死亡、2700人が負傷しました。

死亡者のうち、18歳以下の6人の子どもも含まれているということです。これにより、今年3月末からこれまで行われてきたアメリカ大使館のエルサレムへの移転に抗議するデモで死亡したパレスチナ人の数が100人を超えています。

パレスチナ自治政府のアッバス議長は14日、「虐殺だ」とイスラエルを非難し、衝突の原因となったアメリカ大使館の移転については、「アメリカによる入植だ。アメリカは中東和平の仲介者にはもうなれない」と批判しました。また、多くの国は批判の声を上げ、エルサレム駐在アメリカ大使館の移設式への参加を拒否しました。

在イスラエルアメリカ大使館のエルサレム移転を受け、アラブ連盟は14日、対応を協議する緊急会合を16日に開催することを決めました。同連盟のアブルゲイト事務局長は、14日の移転式典に多くの国が参加したことを「恥ずべき行為だ」と非難しました。

中東和平プロセスの暗い先行き - ảnh 2  移設式に参加したトランプ大統領の娘(写真:ロイター)

 暗い先行き

イスラエル軍との衝突でパレスチナ人に多くの死者が出たことで、中東のイスラム諸国からは流血拡大への懸念が高まっています。エルサレムは、パレスチナ側も将来、樹立する国家の首都と位置づけていて、その帰属は、アメリカが仲介する交渉で決めることになっていました。

このため、トランプ政権の対応にパレスチナ側は失望するとともに、反発を強めていて、各地で抗議デモを続けています。

イスラエルはアメリカの後押しを受ける一方、パレスチナはアラブ諸国とイスラム世界から支持を得ています。そして、中東和平プロセスに関して、多くの国は「2国家共存」という原則を支持しています。こうした中、アメリカ大使館のエルサレム移転は中東和平プロセスの停滞につながり、紛争を長引かせるものとして非難されています。

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