中間選挙後のアメリカ状況

(VOVWORLD) -アメリカ議会の中間選挙は、上院の100議席のうち35の議席と435議席ある下院のすべての議席が改選され、日本時間の6日午後8時から東部ニューヨーク州などで始まり、多くの州で日本時間の7日午前中に締め切られて、開票作業が行われました。
中間選挙後のアメリカ状況   - ảnh 1 選挙戦で、トランプ大統領=ロイター

アメリカのAP通信は、これまでのところ共和党の候補者177人と民主党の候補者193人の当選が確実になったと伝えています。一方、議会上院では、改選されない議席も合わせて共和党が51議席、民主党が43議席を獲得することが確実となり、引き続き共和党が多数派を維持する見通しになったと伝えました。

激しい接戦だった

トランプ氏は選挙戦で、共和党支援のため各地で大規模集会を開き、好調な経済や不法移民対策をアピールしました。一方、民主党はオバマ前大統領らがトランプ氏の強引な政権運営によって社会の分断が広がっていると批判し、若者や女性らの支持を集めました。最新の世論調査によりますと、上院は共和党が多数派を維持する可能性が高まっていますが、下院では民主党がやや優勢であり、終盤になって共和党が激しく追い上げ接戦になっているという見方が出ています。

さらに、投票の中間選挙で費やされる資金総額が史上初めて、50億ドルを超えると概算されています。議会の多数派奪回を目指す民主党は、特に下院の激戦区に多数の広告を投入しました。

今回の選挙で、今後2年間は議会の上院と下院で多数派が異なる「ねじれ」の状態が続くことになり、メキシコとの国境の壁の建設や、オバマ前政権が導入した医療保険制度、いわゆるオバマケアの撤廃などトランプ大統領の公約が一層厳しくなり、難しい政権運営を迫られることになりそうです。

有利と試練

今回の中間選挙の結果は、トランプ大統領と共和党への試金石となります。有権者は、トランプ大統領が就任から約2年以来、様々な成果を収めてきたと認めました。オバマ前政権2期目半ばから回復基調にあり、GDP、雇用率などの数値もはっきり改善しつつあったことは事実でしたが、大幅減税、規制緩和をはじめとするトランプ政権下の大胆な経済政策が景気加速に大きく貢献してきたことは間違いないということです。失業率は今年9月統計で3.7%であり、この49年間の最低でした。雇用も順調な拡大を見せ、平均賃金の伸び率も過去9年で最大となっています。

その一方で、トランプ大統領の幾つかの政策はアメリカ政治内部の中でも対立が浮上しています。アメリカは一連の合意書や国際組織などから脱出したこと、または、エルサレム問題を巡って、イスラエルを強く支持する見解を示したことにより、アメリカ内部激しく対立しています。

それにアメリカの著名政治家やニューヨークのCNN支局などに相次いで爆発物が送り付けられた事件は、アメリカに生じた分断を広げています。これらの要素は、アメリカ国民の不安を招いたということです。その他、アメリカ政府は、医療費削減や、賃金上昇、汚職防止など様々な差し迫った問題の解決に力を入れています。

中間選挙前のアメリカには解決されるべき多くの問題が存在していました。中間選挙後にも、国の指導方向を巡って社会の深い分断 という状況が際立っています。現在、アメリカの有権者らはその分断を克服させたいということなのでしょう。

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