(VOVWORLD) - 選挙後の連立交渉では、どんな組み合わせでも不安定政権となることが避けられないと見られています。
中道右派連合の代表 |
イタリア総選挙(上下院)が4日投開票され、ポピュリズム的な新興政治組織「五つ星運動」が両院で躍進し単独政党では第一党となることが確実になりましたが、いずれの勢力も過半数に届かないことから、選挙後の連立交渉では、どんな組み合わせでも不安定政権となることが避けられないと見られています。
イタリア内務省によりますと、野党の「中道右派連合」が全体の3分の1以上のおよそ37%の票を得て議会の最大勢力となっています。「中道右派連合」の中では、厳しい移民政策を掲げEUの単一通貨ユーロに反対する政党「同盟」が最も多く得票し、サルビーニ書記長が首相候補となるものと見られます。また、EUに批判的で『ポピュリズム政党』と言われる「五つ星運動」が32%余りと議席を現在の2倍以上に増やして躍進し、単独の政党としては議会第一党となりました。
ポピュリズムの台頭 EU
イタリア総選挙の結果は、EUにとって「一難去ってまた一難」と言えます。
EU支持派の与党・民主党の得票率は第3位にとどまり、同党を率いるレンツィ前首相は、選挙敗北で引責辞任すると表明しています。また、イタリアに吹く「過激主義の風」に警鐘を鳴らしました。
イギリスのEU離脱のあと、イタリアはドイツやフランスとともにEUの主要国としての責任を問われることになりますが、選挙の結果、EUに懐疑的な勢力が政権の発足を目指すことになり、EUにとって新たな不安定要因となる可能性も出ています。
イタリア 政界混乱か
いずれの勢力も過半数に達していないため今後、連立交渉が進みますが、連立の行方は複雑化しました。
民主党のレンツィ党首は「決して反体制勢力とは政権をつくらない」と述べ、名指しは避けながらも、厳しい移民規制を掲げる政党「同盟」と、既成政治の打破を掲げる新興政党「五つ星運動」の2つの党と民主党との連立協議に否定的な考えを示したものと見られます。
左右大連立政権を目指す場合でも、民主党と同盟の立場は大きく異なるため、仮に実現しても長期政権は難しいでしょう。近く再選挙になる可能性が強まります。
政治不安が長期化した場合、懸念されるのはユーロ圏債務危機の再燃です。イタリアはユーロ圏3位の大国で、累積債務は国内総生産の133%に達します。財政不安が国債市場に飛び火すれば、ギリシャとは桁違いの大規模な危機を招きかねないでしょう。