国際社会、ベトナム東部海域での「法の支配」精神を掲げる
(VOVWORLD) - 世界各国が新型コロナウイルス感染症への対応に集中している背景の中で、中国はベトナム東部海域(南シナ海)のほぼ全域で海洋資源権益を主張し、一方的な行動を起こしています。これを受け、多くの国は海上の自由航行への支持を表明し、中国の不法な主権主張を拒否しています。また、同海域での「法の支配」の原則を遵守すべきであるとしています。
現在、ベトナム東部海域問題は地域内外諸国の共通の関心事となっています。同海域の平和、安定、海上・上空の自由航行の確保は地域の極めて重要な課題となり、各国の尽力を必要としています。
「法の支配」を強調
この3ヶ月、中国はベトナム東部海域で一連の一方的な行動を起こし、ホアンサ群島で軍事演習を行ったり、同群島にいわゆる西沙郡、チュオンサ群島にいわゆる「南沙郡」の本拠を設置したりして、豊富な地下資源で知られる南シナ海の海底地形など計80カ所の命名も公表しました。中国のこれらの行動は国際社会の強い反発を受けています。オーストラリアはベトナム東部海域での海上の自由航行を支持すると表明しました。
スコット・モリソン首相 |
7月16日、同国のスコット・モリソン首相は「ベトナム東部海域(南シナ海)に関する立場を堅持する」と言明しました。一方、フィリピン国防省は声明を発表し、ベトナム東部海域で「法の支配」の原則に従って秩序を維持する必要があるという国際社会の立場に対する支持を示しました。フィリピンのロレンザーナ国防大臣は中国政府に対し、2016年の常設仲裁裁判所の判決に従い、1982年国連海洋法条約を遵守するよう求めました。こうした中、日本の
菅・
義偉官房長官は中国による南シナ海での最近の活動を「懸念を持って注視している」と指摘したうえで、「わが国は南シナ海の緊張を高めるいかなる行為にも反対する」と強調しました。また、中国の大半の主権を否定した2016年7月のオランダ・ハーグの仲裁裁判所の判決について「最終的に紛争当事国を法的に拘束するので、当事国は仲裁判断に従う必要がある」との日本の立場を重ねて示しました。「自由で開かれた平和な海を守るため、引き続き国際社会と連携していきたい」とも語りました。他方、インド外務省は7月16日、国際法、とりわけ1982年国連海洋法条約に基づく海上・上空の自由航行や合法な商取引を支持するとの立場を強調しました。
これに先立ち、アメリカのポンペオ国務長官は声明を出し、「中国が進出を進める南シナ海での領有権の主張について完全に違法だ。アメリカは、自由で開かれたインド太平洋のために戦っている」と述べた上で、「中国が南シナ海のほぼ全域における海洋資源権益を主張し、一連の権益を支配しようと(近隣諸国を)威迫しているのは完全に違法だ」と公式に非難しました。さらに、「世界は、中国が南シナ海を彼らの海上の帝国として扱うことを認めない。アメリカは東南アジアの同盟国やパートナーとともに権利を保護する立場にある」と強調しています。
ベトナム、東部海域の平和、安定の維持に貢献したい
ベトナムは東部海域に対する領有権と権益を持つ国の一つとして、同海域の平和、安定、協力の維持に努力するという一貫した立場を堅持しています。また、あらゆる紛争を平和的措置と対話を通じて、1982年国連海洋法条約に従って解決する方針です。ベトナムをはじめ、ASEAN=東南アジア諸国連合加盟国はアメリカ国務省と国際社会の立場を歓迎するとともに、1982年国連海洋法条約は海上のあらゆる活動を調整する法的枠組みとなっていると強調しました。また、地域内外諸国は海上の「法の支配」の原則を尊重し、平和、安定、発展の地域の構築で力を合わせる必要があるとしています。