(VOVWORLD) -アメリカやEU=欧州連合加盟諸国が相次いでロシア外交官の国外追放を発表したことを受け、ロシアと欧州諸国との関係は、再び緊張情勢に直面しています。
プーチン露大統領(左)とトランプ米大統領=AFP/TTXVN |
イギリスで起きたロシアの元スパイの暗殺未遂事件を受けて、欧米諸国から110人を超えるロシアの外交官が追放されることになりました。
西側諸国が英国に同調
この事件をめぐっては、イギリスがさきにロシアの外交官23人を国外追放すると明らかにしたのに続き、去る3月26日、アメリカ政府がロシアの外交官60人の国外追放や西部のシアトルの総領事館の閉鎖を発表しました。イギリスのメイ首相は「史上最大のロシアの情報員の一斉追放だ」と述べ、各国と協力してロシアへの圧力を強めていく姿勢を示しました。
この動きはさらに広がり、一連の欧州諸国はロシアの外交官の国外追放を決めました。こうした中、NATOのストルテンベルグ事務総長は27日の記者会見で「NATO加盟国の領域内で神経剤が使われた初めてのケースだ」と述べて事件を改めて非難しました。
その一方で、ロシア外務省は26日、外交官の追放を決めた国々を非難する声明を出しました。この中で、ロシア外務省は「非友好的だ。イギリスとこれらの国々の連帯という挑発的なジェスチャーによって対立構造が継続し、状況はさらに悪化するだろう」として、欧米とロシアの対立が一段と深まり、国際情勢に悪影響を及ぼすと警告しました。
対立が深刻化
イギリスのメイ首相は「ロシアが国際法を無視し続けることができない最大級のメッセージを連帯して送る」と述べ、各国の動きを歓迎しました。
アメリカなどがロシアの外交官の国外追放を発表したことを受け、アメリカの有力紙「ニューヨーク・タイムズ」は電子版の中で「このような大規模な外交官の追放は、冷戦時代をさかのぼっても、過去最大となる。西側諸国とロシアとの対立が深まり、ロシアは間違いなく西側の外交官を追放する措置を取り、冷戦時代の対立が繰り返されるだろう」と伝えています。
ロシア大統領府のペスコフ報道官は「大変残念だ。ロシアはこの事件と何の関係もない」と述べ、改めて事件への関与を否定しました。そのうえで「状況を分析したうえで、プーチン大統領が対抗措置について最終的な決定を下すだろう」として、何らかの対抗措置をとる構えを示しました。
ロシアのラブロフ外相は27日、訪問先のウズベキスタンのタシケントで欧米諸国が取った共同歩調について「ワシントンからの指示に基づいた強い圧力と脅しが生み出した結果だ」と批判しました。また、NATOによる追放措置を受け、外務省当局者も「どのような内容にするのかを調整しながら、必ず対応していく」と対抗措置を講じる立場を示しました。