日本の中谷元防衛相は今月21日の閣議で、2015年版の防衛白書を発表しました。海洋進出を拡大する中国の動きについて「高圧的」と警戒感を示しました。
一方で、中国との最近の関係改善を受けた外務・防衛当局の協議再開や、不測の衝突を避ける仕組み作りなど、直接対話の重要性も指摘しました。
中国からの威嚇を認識
白書では、尖閣諸島(中国名:釣魚島)周辺海域の中国公船の活動について、「日常業務化の傾向がみられる」、「公船は大型化が図られている」と分析しました。東シナ海での中国のガス田開発に関しては、2013年6月以降、新たな海洋プラットホームの建設作業を確認したとして「一方的な開発」に対し、抗議と作業中止を求めていることを説明しました。
ベトナム東部海域で中国が進める岩礁埋め立てについては、「急速かつ大規模な活動を強行している」としています。昨年8月にあった中国軍の戦闘機によるアメリカ軍の哨戒機への異常接近も例に挙げ、「高圧的とも言える対応を継続させ、自らの一方的な主張を妥協なく実現しようとする姿勢を示している」と指摘しました。
中国外務省の陸慷(リク・コウ)報道局長は、日本の防衛白書2015年版について、「“中国の脅威”を誇張し緊張を作り出している」と批判しました。報道局長のこの談話が21日夜、外務省のサイトに掲載されました。白書が中止を求めた中国による東シナ海の石油・ガス開発については、「中国の海洋活動は国際法にのっとって行われている」と反論しました。
報道局長は「釣魚島(尖閣諸島)は古来から中国に属している。中国政府は引き続き領土主権の保護に向けて必要な措置をとるつもりだ。日本は非現実的な幻想を持つべきではない」としています。
緩和しにくい不一致を深刻化
一方、さる5月、中国政府は2年ぶりの国防白書を発表しました。今後の軍事戦略としてベトナム東部海域を巡るアメリカと中国との摩擦を念頭に、「海上での軍事衝突に備える」ことが重要だと明記し、海軍重視の考え方を打ち出しました。サイバーや宇宙などの軍備増強の必要性も挙げました。
特に、日本については「積極的に戦後体制からの脱却を追求し、安全保障政策を大幅に調整している」と懸念を示しました。日本政府が進めている安保法案について、中国は日本が専守防衛・平和的発展の道を変えるのではないかとの疑念を表明した上で、「日本は中国を仮想敵国とみなし、脅威論を振り撒いている」と批判しました。
こうした中、一方、日本側は「最近、中国は東シナ海に様々な一方的な行動を行い、この海域における日本の利益に悪影響を与えている」としています。
日本と中国との対立は国際世論の注目を集めています。最近、両国は両国関係を改善するために努力する姿勢を示していますが、過去から存在してきた問題点を解決することは簡単ではないと評されています。