(VOVWORLD) - 日本や、EUは、アメリカの保護貿易から自らを守るだけでなく、自由貿易の主導者としての役割も担う必要があると評されています。
日本とEU=欧州連合は17日、EPA=経済連携協定に署名しました。これにより、世界最大の自由貿易圏が形成されることになるほか、アメリカのトランプ大統領が掲げる保護貿易主義に対抗する上でも重要となります。
日本とEU間のEPAは昨年12月に交渉妥結し、2019年に発効する予定です。日本とEUの経済規模は全世界のGDP=国内総生産の約3割、貿易量の約4割を占め、人口も合わせて6億人を超えます。そのため、世界最大級のメガ自由貿易協定と呼ばれることができます。
この協定によりますと、関税の撤廃率(品目数)は日本側が94%、EU側が99%に達し、CPTPP=包括的かつ先進的環太平洋経済連携協定並みの高い自由化水準を確保します。知的財産や、企業統治、政府調達などの分野でも、公正で透明なルールを定めているとしています。
米国抜きのFTA
日本とEU間のEPAは、アメリカのトランプ政権が「アメリカ第一」を主張し、保護主義を促進させている中で締結されました。世界各国はアメリカの保護主義に対抗するため自由貿易包囲網の構築を急いでいる動きがあるといえます。
日本は他のメガFTAも進めます。17日、神奈川県で、CPTPPの首席交渉官会合を開催し、19日まで新規加盟国の参加方法などを話し合いました。そして、タイや、コロンビア、イギリス、韓国などがCPTPP加盟に関心を示しています。
一方、EU は6月に、オーストラリア、ニュージーランドとFTA交渉を開始しました。ブラジルや、アルゼンチン、パラグアイ、ウルグアイの南米4カ国がつくる関税同盟のメルコスール=南部共同市場との交渉も進めています。大西洋と太平洋の双方からアメリカを取り囲むように、巨大な自由貿易圏をつくり出すことを目指してい ます。
多国間協定を急ぐのは日本と欧州だけではありません。南米でもメキシコ、チリ、ペルー、コロンビアの4カ国が参加する太平洋同盟がカナダ、オーストラリア、ニュージーランド、シンガポールを準加盟国に加え、貿易円滑化の議論を始めました。
自由貿易の旗を高く掲げ続ける
日本や、EUは、アメリカの保護貿易から自らを守るだけでなく、自由貿易の主導者としての役割も担う必要があると評されています。安倍晋三首相とEUのトゥスク大統領がEPAの署名に際し、その意思を鮮明にしました。
日 本とEUは共同声明で、EPAへの署名について、「自由貿易の旗を高く掲げ続け、力強く前進させていくとの揺るぎない政治的意思を世界に対して示すもの」と 意義を強調しました。その上で、「WTO=世界貿易機関を中心とするルールに基づく多角的貿易体制の極めて重要な役割を強調し、引き続き保護主義と戦う」と 明記しました。