朝鮮半島の緊張情勢


朝鮮民主主義人民共和国は、金日成国家主席の生誕105周年を記念するにあたり、16日、ミサイル発射実験を行いました。同国とアメリカが互いに厳しい言動を繰り返している背景の中で行われたこの実験は緊張情勢を高め、戦争勃発に繋がると懸念されています。


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15日に行われた北側の軍事パレード(写真:EPA/ TTXVN

朝鮮民主主義人民共和国は16日午前、東岸から弾道ミサイル1発を発射しました。発射は失敗しましたが、その日、アメリカのペンス副大統領が韓国に到着しました。北側はこれに合わせて発射し、トランプ政権をけん制する狙いだったとみられています。


関係者の強固な姿勢

これを受け、韓国側は、「15日に行われた金日成国家主席の生誕105周年を祝う過去最大希望の軍事パレードの直後に実施されたこの発射は全世界を脅かす行為である」とした上で、「新たな挑発に強力で懲罰的な措置を取る」と警告しています。

一方、17日午前、南北朝鮮の軍事境界線に接するDMZ=非武装地帯を視察したアメリカのペンス副大統領は「戦略的忍耐の時代は終わった」と改めて宣言し、「あらゆる選択肢がテーブルの上にある」と警告しました。

また、複数の報道機関によりますと、副大統領は17日午後、黄教安(ファン・ギョアン)大統領代行と会談し、北側の挑発には強力な対応を取る方針を確認するとともに、米韓同盟を強化・発展させ、「核の傘」を含めた抑止力を高めていくことで一致したとしています。


緊張が増す朝鮮半島

朝鮮民主主義人民共和国がミサイル発射実験を行うのは今回が初めてではありません。そして、朝鮮半島の緊張情勢がピークに達することも初めてではありません。しかし、今回は深い懸念を引き起こしています。というのは、アメリカのトランプ政権は国際問題に強固な姿勢を示しているからです。

アメリカ軍が今月7日にトマホーク巡航ミサイル59発をシリアのシャイラート飛行場へ発射したことや、イスラム過激派組織「イスラム国」の掃討作戦の一環として13日に核兵器以外の通常兵器として最強の破壊力を持つといわれる大規模爆風爆弾(MOAB)をアフガニスタンに投下したことなどはその証です。

また、「中国の協力がなくても朝鮮問題を解決する」という発言と同時に、アメリカは朝鮮近海に向け空母を展開させています。これに対し、北側は、軍事力を誇示しながら、「先制攻撃も辞さない」姿勢を示しています。

特に、一週間前に、北側当局がピョンヤンに暮らしている住民のうち約60万人を別の地域に放出する大規模移住措置を準備中であることが確認されました。それに加えて、中国が朝鮮半島での緊急事態に備えて北側との国境地域に15万人の兵力を集結させたという情報や、日本政府が朝鮮半島有事の場合の在留日本人の保護方法について検討しているという情報も浮上しています。

こうした中、アナリストらは、「これまで入手してきた情報により、朝鮮半島情勢を正しく予断することはまだできない」としながら、関係者に対し、「軍事衝突を避けるために自制するよう」呼びかけています。

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