在韓アメリカ軍が26日、(THAAD=サード)高高度防衛ミサイルの核心装備を首都ソールから東へ300キロメートル離れたところにあるソンジュの配備予定地に電撃的に搬入しました。アメリカと韓国も実弾を使った大規模な砲撃訓練を公開しました。その一方で、朝鮮民主主義人民共和国の国営メディアは26日、朝鮮人民軍が「建軍史上最大規模」の軍事訓練を行ったと伝え、朝鮮半島の情勢はさらに緊迫しています。
朝鮮人民軍の演習
THAAD展開
韓国のメディアによりますと、THAAD(サード)」の装備を搭載したトレーラー6台が26日未明、配備予定地に到着しました。韓国は、朝鮮による新たな挑発の可能性が高まる中、THAADの配備開始で迎撃能力の早期向上を図ると述べ、「年内にはTHAADの完全な作戦運用能力を確保する」と強調しました。
THAADの配備は地元住民の強い反発を受けて電撃的に行われています。米韓両国は、韓国の次期政権が配備を見直す可能性を懸念しているのです。5月9日の韓国大統領選を前に、配備の完了を暫定的に宣言する方向で調整を始めています。
多発する軍事演習
朝鮮中央通信によりますと、朝鮮人民軍は25日の創建85年を祝し、過去最大規模の合同攻撃演習を行ないました。これには金正恩朝鮮労働党委員長が立ち会いました。米原子力空母「カール・ビンソン」や原子力潜水艦「ミシガン」を朝鮮半島に派遣するなど、軍事的圧力を強めているアメリカのトランプ政権に対し、力で対抗する姿勢を誇示する狙いがあるとみられます。
朝鮮が過去最大規模の砲撃訓練をアピールする一方で、アメリカと韓国も26日、陸・空軍が合同で実弾を使った大規模な砲撃訓練を公開しました。韓国国防省は、訓練の目的を「軍の勇姿と高い作戦能力を誇示するため」と説明していて、朝鮮の挑発に直ちに対応できる態勢をアピールする狙いがあるとみられます。
一方、日本は、すでに23日から、海上自衛隊の護衛艦2隻がアメリカ海軍の原子力空母カール・ビンソンと共同訓練を行っています。さらに26日、航空自衛隊もF15戦闘機2機がカール・ビンソンに艦載されているFA18戦闘攻撃機2機と沖縄本島の東で訓練を行うと発表しました。しかし、結局、悪天候のため実現できませんでしたが、朝鮮を日米韓の3か国でけん制する構図が鮮明となっています。
関係各国のこうした動きにより、朝鮮半島の緊張が緩和する兆しはまだ見えていません。