日米欧など主要国の首脳が参加する第4回核安全保障サミットが3月31日から2日間、米首都ワシントンで開かれます。原子力発電所への襲撃も計画していたとされるベルギーでの連続テロなどを受け、核テロ防止に向けた行動計画を策定します。そして、朝鮮民主主義人民共和国の核開発問題も主要議題になるとされています。
(写真:http://kienthuc.net.vn)
核安保サミットはアメリカのオバマ大統領の提唱で2010年に始まり、2年ごとに行われるものです。サミットでは、首脳レベルで、核テロ対策に関する基本姿勢や、取組状況、国際協力の在り方などについて議論しています。
緊張情勢
このサミットに関し、朝鮮中央通信は28日の論評で、「アメリカは時間を無駄にしないで対朝鮮敵対視政策の撤回など現実的な案を見つけるべきだ」と主張しました。また、「世界最大の核保有国であるアメリカが核安全首脳会議を行うこと自体が言語道断で、世界の平和と安全を望む人民の念願に対する厳重な冒涜(ぼうとく)」と非難しました。
特に、朝鮮は29日、ロケット砲とみられる短距離飛翔体(ひしょうたい)1発を発射しました。韓国国防省によりますと、飛翔体はロケット砲とみられ、朝鮮東部の元山(ウォンサン)一帯から1発、発射されました。北東方向に約200キロ飛び、山岳地帯に落ちたということです。朝鮮民主主義人民共和国の行動と言動により、朝鮮半島情勢の緊張が増しています。こうした中、国連安全保障理事会は対朝鮮制裁措置を出しました。また、アメリカや、韓国なども強固な措置を取っています。
サミットを前に、アメリカのルー財務長官が講演し、核実験を進める朝鮮や、過激派組織IS=イスラミックステートに対する圧力を強めるためには、資金源を断つ経済制裁が極めて重要だとして、国際社会に結束を呼びかけました。
対応のための多国間協力
さらに、日本、米国、韓国の3カ国は、サミットに合わせ、安倍晋三首相とオバマ大統領、韓国の朴槿恵(パククネ)大統領による日米韓首脳会談を行う予定です。
北東アジア地域の安全保障分野を中心に意見を交わすとともに、核実験や、事実上の長距離弾頭ミサイル発射を強行した朝鮮への対応について協議し、各国の独自制裁や国連安全保障理事会の新たな制裁決議を踏まえて、圧力強化に向けた連携、および、朝鮮による核・ミサイル開発の阻止へ3カ国の結束を確認する見通しです。
これらの動きに対し、朝鮮民主主義人民共和国は強固な姿勢を崩していません。同国のイ・スヨン外相は29日、ロシアのタス通信とのインタビューで、「われわれはアメリカの核戦争の狂気に対応し、断固たる核先制攻撃の意志を表明した。今日の朝鮮半島は、核戦争か平和かという岐路に立っている」と強調しました。
アナリストらは朝鮮半島情勢に深い懸念を示し、「現時点まで、朝鮮民主主義人民共和国を北朝鮮を交渉のテーブルへ復帰させることは容易ではない」と指摘しています。