欧州を変える英のEU離脱


2016年6月23日、イギリスは、「ブレグジット」と呼ばれるEU欧州連合からの離脱の賛否を問う国民投票を行いました。「離脱」が52%、「残留」が48%という思いがけない結果になりました。ブレグジットはイギリスはもちろん、欧州に経済の面でも社会の面でも大きな影響を与えています。

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英国への大きな打撃

EU離脱後、イギリスの政界は大きく変わりました。与党の保守党では、党首のキャメロン前首相が辞任し、メイ首相の政権が発足しました。最大野党労働党では、約20人の指導者が辞任したものの、EU離脱に反対したコービン党首は留任したままで、労働党の団結に亀裂が入っています。

イギリスのEU離脱を受け、スコットランドのスタージョン行政府首相は、独立を含めあらゆる選択肢を準備していると明らかにし、イギリスからの独立を問う国民投票の実施を示唆しました。

経済面では、EU離脱を問う国民投票が実施されてからのこの6ヶ月、イギリスの経済は予測ほど悪くなかったです。産業やサービス業の生産高は安定しており、失業率はこの11年、最低になっているという状態です。

しかし、先ごろ、イギリスの中央銀行は、金融安定報告を公表し、EU離脱や米大統領選挙などの要因で国内の金融システムは「困難」に直面する可能性があるとの見方を示しました。金融安定がリスクにさらされる可能性は依然として高いと指摘しました。

EU 大きな困難に直面

イギリスのEU離脱はEUに大きな打撃を与えています。そして、EUの団結に亀裂を生じさせています。スイスはEU加盟への申し込みを中止する一方、イタリアやオランダなど幾つかのEU加盟国はEU離脱の賛否を問う国民投票を行うとの姿勢を示しています。

経済面では、イギリスの中央銀行は、EU離脱に向けた手続きがどの程度円滑に進むのか、EU内のビジネスがイギリスの金融サービスへのアクセスを維持できるかなどが、今後の状況を左右すると指摘しています。EU内企業がイギリスの金融サービスへのアクセスを失えば、イギリスとEU双方の経済にとって打撃になるとの見方を示しました。

そして、イギリスのないEUは、韓国、日本、インド、中国などにとって、発言力や影響力が少なくなっている相手になるはずです。さらに、難民問題やテロとの戦いなどEUが悩んでいる問題はイギリスの参加がなければ、その解決が難しくなるのは必至です。


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