民族大団結のよりどころとなったフン王を偲ぶ信仰

(VOVWORLD) - ユネスコの専門家によりますと、フン王を偲ぶ信仰はベトナム独特のものですが、グローバルな価値があり、各民族の自尊心と民族意識を鼓舞するものであるとしています。
民族大団結のよりどころとなったフン王を偲ぶ信仰 - ảnh 1フン王神社祭りの開催場所=Tú Anh

既にお伝えしましたように、2012年12月6日パリで、ユネスコは、ベトナム建国の祖・フン(雄)王を偲ぶ信仰を人類の無形文化遺産として正式に認定しました。したがって、先祖への尊敬心を示すための、このベトナム独特の信仰は国境を超え、全人類の共通の貴重な財産となっています。

ユネスコの専門家によりますと、フン王を偲ぶ信仰はベトナム独特のものですが、グローバルな価値があり、各民族の自尊心と民族意識を鼓舞するものであるとしています。

民族の大団結の力と文化の源

史書によりますと、ベトナムの各王朝はいずれも、フン王を偲ぶ信仰を奨励しました。また、フン王はベトナム建国の祖とみなされています。さらに、多くの王朝はフン王を偲ぶ神社を国家の礼拝施設に認定したとしています。

国の独立を勝ち取った1945年9月2日から、党と国家はフン王を偲ぶ信仰に特別な関心を寄せてきました。1946年2月18日、ホーチミン主席は国の祝日に関する政令に署名し、その中で、フン王の命日である旧暦3月10日を祝日・休日に定めました。そして、同年、建国の祖・フン王の命日を記念する最初の式典が盛大に行われました。

民族大団結のよりどころとなったフン王を偲ぶ信仰 - ảnh 2歴史学者ズオン・チュン・クォック氏=VOV

歴史学者ズオン・チュン・クォック氏は次のように明らかにしました。

(テープ)

「独立を勝ち取ってから、1946年、ホーチミン主席はフン王の命日を記念する式典を主催しました。その日に、フィン・トゥク・カン内務大臣率いる政府の代表団はフート省にあるフン王を祀る神社にまでやってきて、供物を捧げました。その供物の中には北部や、中部、南部を含む統一したベトナムの地図や、剣(つるぎ)があります。これらは国を守る決意を示すものでした」

研究者によりますと、ベトナムは先祖を偲ぶ信仰がある唯一の国です。この信仰はフン王時代だけではなく、その以前から始まったということです。世代から世代へと引き継がれてきたこの信仰はベトナム民族の大団結の力と文化の源となっています。ベトナム国家文化芸術研究院の院長を務めたグエン・チ・ベン教授・博士は次のように述べました。

(テープ)

「フン王を偲ぶ信仰は人類の代表的な遺産に関するユネスコのすべての指標を満たしています。この信仰は全社会が参加しています。そして、ベトナム人はこれを文化の一部とみなしています」

特別な文化の保存と発揮

世代から世代へと引き継がれてきたフン王を偲ぶ信仰は国境を超え、全世界に広がっており、ベトナム民族の歴史や、文化、伝統の美しさを示しています。こうした中、この特別な文化の保存と発揮は、「水を飲むとき、その井戸を掘った人の恩を思う」という良き伝統を継続するだけでなく、ベトナムの独立・自由・主権・領土保全を確認する意義もあります。また、これは今日の世代だけでなく、若い世代の原動力ともなります。

フン王を祀る神社が建立された北部丘陵地帯フート省人民委員会のホー・ダイ・ズン副委員長は次のように明らかにしました。

(テープ)

「わが省は、フン王を偲ぶ儀式の標準化を目指し、研究者、歴史学者、研究所と協力しています。また、フン王を祀る施設があるほかの地方と連携する方針も打ち出しています。これまで、関連儀式はほぼ同一化されています」

毎年、旧暦3月10日のフン王の命日にあたり、国外在留ベトナム人も含む数百万人のベトナム人がフート省にあるフン王神社に参拝し、献花したり、線香を手向けるなどして、フン王をはじめ祖国の建設・防衛・発展事業に功労があった人々の恩に報い、国の平和・繁栄・発展などを祈ります。参拝者の話をお聞きください。

(テープ)

「感動しています。各世代のフン王は国をおこし、今日の平穏で幸せな生活を作り出しましたね」

「キリスト教徒ですが、先祖の恩を忘れません。ここにやってくると、父と母の元に帰ったような気になります。皆は貧富を問わず、団結し、支援し合い、共にフン王が建国した国を発展させていきましょう」

「フン王を偲ぶ信仰について研究しましたが、ここにやってきて、特別な気持ちになります。今後も、その価値観を広めていきたいと思います」

フン王を偲ぶ信仰はベトナムの民族精神のシンボルであり、民族大団結のルーツでもあると言えます。「どこにいても、3月10日の建国の祖の命日は覚えていてね」という言葉はベトナム人の誰もが心の中にもっています。今後も、この美しい伝統は次の各世代に引き継がれてゆくでしょう。

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