(VOVWORLD) - 近年、ベトナムは気象水文観測・予測・警報業務の近代化に力を入れています。これにより、気象水文部門は、世界レベルに達した多くの技術を手に入れており、東南アジア地域でトップに立っています。
ベトナムは、世界で最も災害に対して脆弱な国の一つであり、毎年、 気象災害による大きな被害を受けています。モンスーンと台風の時期の一致に加え、狭あいな低地と急峻な山岳からなる地勢的な条件から、大雨に伴う洪水も頻発しています。こうした水災害は、ベトナム の社会経済の発展にとって大きな妨げとなっています。加えて、気候変動により、今後さらに異常な降雨や台風の発生頻度が大きくなると予想され、水災害被害の緩和策が喫緊の課題となっています。そのため、気象水文部門の近代化は差し迫った課題となっており、国は大きな投資を行っています。
ベトナム気象水文総局によりますと、現在、ベトナム全土には、359カ所の水文観測所、781カ所の雨量観測所、210カ所の気象レーダー観測所などがあります。また、気象水文部門のデータベースは全国的なものであるだけでなく、グローバル的なシステムにも接続することができるとしています。
近年、高層気象観測、地上気象観測の観測手順、観測データの取り扱い方法などは全て規範として標準化されており、これらは遵守されています。また、観測器の精度維持や人材育成に力を入れることにより、観測データの質が益々高まっています。特に、最も大きな被害をもたらす台風や豪雨、洪水に関する観測・予測・警報は一段と改善されました。
また、ベトナム気象水文総局は気象水文観測・予測・警報業務のさらなる質的向上を図るため、研究活動に集中しています。2015年から2019年までの期間に、技術改良を目指す470件のアイデアが出されたほか、85件の研究案件が実施されました。その中の多くの研究結果は東南アジア地域の国々に提供されています。気象水文総局のチャン・ホン・タイ局長は次のように語りました。
(テープ)
「私たちは、競争目標として技術改良を目指すアイデア運動を展開しています。これからも気象水文部門の観測所ネットワークをさらに拡大・充実させたうえで、国民に質の高い予報を速やかに提供してゆく方針です。」
また、ベトナム気象水文部門は、アジアの第2地域気象協会の副会長や東南アジア地域の危険気象予報センターの所長などを務めることを通じて国際協力を拡大しています。これらの取り組みは、気象水文部門の近代化を加速させ、自然災害による被害を最小限に抑える目標の実現を目指すものです。