米の対ベトナム武器禁輸完全解除 関係の完全正常化を
ベトナムを訪問中のアメリカのオバマ大統領は23日、1975年のベトナム戦争終結後から続いたベトナムに対する武器禁輸措置を全面的に解除することを明らかにしました。これは、かつて敵同士であった両国の関係を完全に正常化させるために必要な措置と評されています。
オバマ大統領とクアン国家主席の共同記者会見
完全な関係正常化
2014年10月、 アメリカは、ベトナムの海上での安全保障を強化するため、40年間続いていた武器禁輸措置の一部を解除しました。今回の完全解除は両国関係が全面的に正常化したことを示しています。
オバマ大統領は、23日ベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席と会談した後、共同記者会見で武器禁輸解除を発表し、「共通の利益と相互尊重との考えのもと、軍事的な分野についても信頼と協力を築く時期が来た」と述べました。また、ベトナム戦争と冷戦の後遺症を完全に取り除く決意を明らかにし、ベトナムとの国防協力を拡大したい考えを示しました。オバマ大統領は、この決定は両国の関係発展の歩みによるものであると説明しました。
一方、ベトナムのチャン・ダイ・クアン国家主席は、「対ベトナム武器禁輸の完全解除は両国関係が完全に正常化したことの証である」と述べ、アメリカのこの決定を高く評価しました。
国内外の積極的な世論
アメリカの多くの議員は、対ベトナム武器禁輸解除についてオバマ大統領を支持しています。アメリカ上院外交委員会委員長を務めるボブ・コーカー議員は、対ベトナム政策の大きな変更を促進させるため、政府と協力する用意があると明らかにしました。
一方、アメリカのベトナム退役軍人協会のネド・フーテ会長は、対ベトナム武器禁輸解除を歓迎し、対ベトナム武器禁輸を継続する理由は一つもないと述べました。また、アメリカ政府のベトナム退役軍人プログラムを担当するベルナルド・エデルマン氏は、戦争は過去となり、アメリカはベトナムとの架け橋の構築に取り組んでいると強調しました。
一方、ベトナムの第1軍区の司令官を勤めていたファム・スアン・テ中将は、今回の決定は、戦争の最後の後遺症を取り除き、両国関係の新しいページを切り開いたと述べ、両国関係にとって大きな節目であると強調しました。そして、ベトナム外務省所属戦略研究所のチャン・ベト・タイ副所長は、この決定により、ベトナムはアメリカの武器メーカにとって潜在力の大きな市場となるとの考えを示しました。
国際世論も、アメリカの決定を大きく歓迎しています。中国外務省の報道官は23日、「中国は、ベトナムがアメリカを含む全ての国と正常な関係を発展させることを歓迎する」と発表しました。世界のマスメディアはオバマ大統領の発表を大きく取り上げています。
アメリカのニューヨークタイムズは、対ベトナム武器禁輸解除はオバマ大統領のベトナム訪問において最も重要なニュースであるとコメントしました。一方、ワシントン・ポストは、この決定は両国の幅広い協力の結果であると述べました。イタリアのANSA通信は、対キューバ経済制裁の解除と広島訪問に加え、対ベトナム武器禁輸解除は冷戦に終止符を打とうとするオバマ大統領の努力であると評価しました。
1995年に正常化したベトナムとアメリカの関係は、実質的に発展しており、大きな成果を収めています。アメリカが対ベトナム武器禁輸を全面的に解除したことは、その関係の更なる発展に弾みをつけることでしょう。