(VOVWORLD) - アメリカとロシアが利害関係を適当に解決しなければ、シリア問題は解決できないままでしょう。
シリア南部で20日、アサド政権側の部隊が運用するイラン製の無人機が、アメリカ軍機により撃墜されました。無人機撃墜は今月8日に続き2度目です。18日には、シリア北部ラッカの近郊でアメリカ海軍機がシリア政府軍機を撃墜しており、シリア政府軍との緊張が高まるだけでなく、アサド政権を支援しているロシアとの「不測の事態」が生じる恐れすら出てきました。
緊張エスカレート
シリアのアサド政権を支援するロシアは「国際法違反で事実上の侵略行為だ」として強く反発し、アメリカとの間で偶発的な衝突を防ぐために設けている連絡窓口の運用を停止したとしています。ロシアのセルゲイ・リャブコフ外務次官はインターファクス通信に対し、「シリアではこの種の攻撃はテロの共謀に等しい」と非難しました。そして、「アメリカが主導する連合軍の航空機について、シリア上空で防衛システムや戦闘機を駆使して追跡する」としています。
これに対し、アメリカ側はあくまで自衛の措置だとして、ロシア側に連絡窓口の運用の再開を働きかけ事態の悪化を防ぎたい考えですが、そのさなかの撃墜にシリアやロシアとの緊張がさらに高まるおそれもあります。
米ロの努力 シリア内戦を決定
アメリカとロシアはIS打倒を目指す点では一致していますが、シリアでの利害は異なります。アサド政権を支援するロシアに対し、米軍主導の有志連合は反体制派と連携しています。両国は昨年、シリア上空での衝突を回避する目的で緩衝ゾーンや専用の通信回線を設けていましたが、今年4月には、アメリカ軍によるシリア軍基地へのミサイル攻撃を受て、ロシアが衝突回避措置を停止すると宣言し、一時的に緊張が高まっていました。
相次いでいる撃墜事件により、アメリカとロシアの衝突回避措置に疑問が問われています。そして、カザフスタンで7月10日に予定されているシリア和平会議に悪影響を与える恐れもあります。アメリカとロシアが利害関係を適当に解決しなければ、シリア問題は解決できないままでしょう。