米中戦略対話、目立つ成果はないか?

アメリカと中国は23日、ワシントンで、第7回米中戦略経済対話を始めました。アメリカ側はケリー国務長官とルー財務長官が、中国側は楊潔篪国務委員と汪洋副首相が共同で議長を務めます。戦略経済対話は、米中両国の政府高官が安全保障から経済に至るまで幅広い分野の課題について話し合う枠組みですが、中国がベトナム東部海域いわゆる南シナ海で続ける浅瀬の埋め立てやサイバー攻撃などについて両国の対立が激化しているなか、今回の対話が何の成果を収めるのかが焦点です。

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米中関係におけるベトナム東部海域(南シナ海)

アメリカ国務省のラッセル国務次官補は18日、ワシントンで会見し、米中戦略対話で、中国によるベトナム東部海域の軍事拠点化の問題が焦点の一つになるとし、「中国が国際法を守るかどうかの問題だ」と語りました。また、ラッセル氏は、中国がベトナム東部海域での岩礁埋め立て完了後に軍事目的を含む施設の建設を進めると公表したことに触れ、「中国の発表、行動はともに緊張を緩和するものではない」と批判しました。米中対話では、中国が埋め立て地を前哨基地にし、軍事拠点にするのをやめるよう求めることを明らかにしました。

アメリカのワーク国防副長官は22日、中国による埋め立てについて、軍事拠点化に反対すると重ねて強調しました。「米国は望む場所を望んだ時に航行、飛行する」と語り、中国の人工島付近で米軍艦船・航空機の運用を続ける方針を改めて示しました。

一方、中国は、ベトナム東部海域での人工島建設作業の中止に対するアメリカの要求について正式な反応を示していませんが、アメリカによるベトナム東部海域の問題への介入に繰り返し反対しています。そのため、第7回米中戦略経済対話では、ベトナム東部海域の問題について米中両国がどのような姿勢を示すのが注目を集めています。

経済とサイバーセキュリティでも対立

ベトナム東部海域の問題のほか、サイバーセキュリティや香港での人権の問題も対話の議題になります。アメリカ国務省のラッセル国務次官補は「サイバー空間への侵入や攻撃は加速している」と指摘しました。中国当局によるメディアやNGOへの締め付けに加え、香港の民主派が、行政長官選挙で誰もが公平に立候補できる制度を求めている問題についても提起することを明らかにしました。

さらに、中国が主導するAIIB=アジアインフラ投資銀行の設立や、中国の通貨・人民元の制度の一層の自由化など、経済分野における両国間の懸案についてどのような議論が交わされるのかが焦点です。

対立緩和を目指す努力

対立が激化しているなか、米中戦略経済対話が開かれたにもかかわらず、協力と連携の余地はまだ大きいと見られています。中国の新華社は「米中はここ最近、南シナ海の対立やサイバー攻撃で緊張関係にある」としつつ、ハイレベル対話を続けることによって「共通の利益を通じ、連携を成熟させることが実証できる」と指摘しました。アメリカ国務省のラッセル国務次官補は、気候変動や朝鮮半島の核問題などでは両国の協力が進められると述べました。

第7回米中戦略経済対話に先立つ22日、ワシントンで、両国政府は次官級の対話を開きました。アメリカ政府高官は、22日の対話について「米中の関心が重なる分野を広げ、こうした分野での協力を拡大することで一致した」と述べました。こうした努力を通じ、見解の相違を小さくすることを目指すとしています。しかし、対立が激化しているアメリカと中国は今回の戦略経済対話で目立つ成果を達することはできないのではないかとの見方もあります。


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