イギリスのEU欧州連合からの離脱(ブレグジット)を受け、28日、ブリュッセルで、EU首脳会議が開催され、イギリスのEU離脱を順調に行えるような対策について話し合われます。イギリスの人々が23日の国民投票で「EU離脱」を決めたのは欧州統合に対する第2次世界大戦後最大の脅威となっているのです。
ブルグジットに関する共同記者会見に臨んだ
ハモンド英外相(左)とケリー米国務長官(右)
(写真:AFP/VNA)
ブルグジット後の交渉は難航?
加盟国のEU離脱を規定しているのは、事実上のEU憲法とも言うべきリスボン条約の第50条です。この条項が発動された例はまだありません。
先週末、複数のEU幹部からも、イギリスはただちに正式に離脱する必要があるという発言がありました。しかし、国民投票後、キャメロン首相は10月に辞任し、「イギリスのEU離脱」をめぐるEU側との交渉は後任となる首相に任せる意向を表明しました。
イギリスの国民投票は法的拘束力がない上、僅差だったためやり直しを求める声も強いのです。一方、離脱派は非公式交渉でイギリスに有利な条件を引き出したい狙いがありますが、EU主要国のドイツ、フランス、イタリアの首脳は27日、ベルリンで会合を開き、イギリスから正式な離脱の通知を受けるまで非公式な交渉をしない方針で一致しました。
そして、26日、スコットランド自治政府首脳は、スコットランドはEU離脱そのものに対する拒否権を行使する可能性があると述べました。イギリス上院の報告書によりますと、イギリスにおける権限委譲のルールのもとでは、EU離脱に際してはスコットランド、北アイルランド、ウェールズの各地方議会からの同意を得る必要があります。
これにより、イギリスのEU離脱に関する交渉開始は困難で、混乱が長期化する恐れがあります。
EU ブレグジット地震対応で協調
イギリスのEU離脱を受け、EUは動揺を最小限に抑え結束を固めたい考えで、外交シャトルを展開しています。ドイツのメルケル首相とフランスのオランド大統領は26日、電話会談し、イギリスのEU離脱への対応をめぐる「完全な合意」が両者の間にはあるとしました。
そして、ドイツのメルケル首相、フランスのオランド大統領、イタリアのレンツィ首相は27日、ベルリンで会談しました。3首脳はイギリスが離脱の意思を通知しない限り、事前交渉は行わない方針で一致し、協調の姿勢をピーアールしました。会談後の共同記者会見で、イタリアのレンツィ首相は「欧州の歴史の中で、我々が団結する新たな1ページを記す時だ」と述べ、柔軟なEU統合のあり方を検討してゆく考えを示しました。
しかし、欧州の歴史で起きたことのないブレグジットは今後、EUと世界にどのように影響をもたらすのか誰もがまだわからないでしょう。