(VOVWORLD) -2017年は、世界の政治状況が多くの迅速な変動を見せました。多くの大国の関係が変化し、国際関係に影響を与えました。これらの動きから見れば、今後、国際情勢は引き続き複雑に推移していくといえます。
注目すべきことは、2017年の下半期における情勢が上半期と比べ逆転した国際関係もあったということです。アメリカ・ロシア、アメリカ・中国、アメリカ・EU=欧州連合関係はその証です。
アメリカとロシアおよび中国との関係の逆転
アメリカ・ロシア関係についてですが、トランプ政権の誕生に伴い、その関係が改善されると予想されていましたが、実際、両国は対抗関係の行き詰まりに陥っています。トランプ大統領は数回にわたり、ロシアとの関係を改善したい意向を表明してきましたが、いわゆる「ロシアは2016年のアメリカ大統領選挙に干渉した」事件はその意向の実施に悪影響を与えました。
ベトナムで開催されたAPEC首脳会議の際にあった米ロウ大統領(写真:ロイター) |
また、アメリカ議会がロシア制裁の強化に関する法律を採択したことも両国関係の緊張を増しました。ロシア側はこれを挑発行為と見なし、報復措置として、アメリカの755人の外交官をロシアから追放することを決めました。
一方、アメリカ側はクレムリンに対し、サンフランシスコ駐在総領事館や、ワシントンとニューヨーク駐在通商代表部を閉鎖するよう要請しました。両国間の経済関係も悪化しています。特に、アメリカは、エネルギーや、武器生産などロシアの主要産業に携わるロシア企業を対象に複数の制裁措置をとっています。
他方、アメリカ・中国関係も多くの浮き沈みを見せました。トランプ政権の誕生は中国に大きな圧力を加えるものと評されています。アメリカは、自国の国家安全保障戦略において、中国をアメリカの国益を脅かす国と見なしています。
しかし、両国は、多くの共通の利益を持っていることから、建設的関係を維持せざるを得ていません。中国側は、「協力は、双方の正しい選択肢である」と強調しています。アナリストらによりますと、今後も、米中両国は、競争しながら協力するという関係を維持していくとしています。
ブリュッセルであった米欧首脳(写真:European Commission) |
米国・EU関係の試練
アメリカ・EU関係に関して、「アメリカ・ファースト(アメリカ第一主義)」というトランプ大統領の選挙戦スローガンは欧州の多くの政治家に深い懸念を与えました。そして、就任直後、トランプ氏は、「イギリスに次いで、多くの国はEUを離脱する」と予測し、世論のショックを引き起こしました。
加えて、アメリカは、EU及びNATO=北大西洋条約機構との関係を点検すると警告しています。特に、アメリカはTPP=環太平洋経済連携協定離脱を決定しました。アナリストらは、「アメリカの多くの決定はEUの利益に逆行している」と指摘しています。
こうした中、EUの機関車とされるドイツのメルケル首相は、「環大西洋関係は弱体化しており、欧州は自らの運命をコントロールする必要がある」と警告しています。
2017年を振り返ってみると、アメリカとロシア、中国、EUとの関係は緊張がエスカレートしたこともありましが、その主な原因はアメリカの政策変化によるものといえます。これらの関係は国際関係の軸と見られることから、今後、どのようになるかが焦点となっています。