2017年カタール外交危機を振り返る

(VOVWORLD) - 昨年半ば、カタール外交危機が始まりましたが、これはGCC=湾岸協力会議が発足した1981年以来、最悪の危機となり、予測よりも長引いていま す。2018年に入っても収束の兆しが出ていません。この危機は、GCC加盟諸国の亀裂を示し、地域の安定にマイナス影響を与えています。

2017年6月5日、サウジアラビア、エジプト、アラブ首長国連邦、バーレーンなど中東9カ国はカタールが通信や、政治、資金などの面でテロリズムを支援しているとして同国との国交を断絶しました。

各国は陸・空・海の全てにおいてカタールとの接触を断つことや、カタール国民を国外へ追放することなどを決定しました。また、GCCも同じ措置をとりました。

深い原因

アナリストらによりますと、この危機の根源は、長年にわたり積もられてきたアラブ世界内の矛盾や、衝突、緊張によるものです。カタールへの制裁は「テロ支援」を理由にしていますが、実際、これは、カタールが進めてきた独立した外交政策や、カタールとイランとの密接な関係などに関する不満の表れだということです。 

2011年にエジプトや、リビア、シリアなどで勃発した「アラブの春」により、その不満が高まりました。当時、アラブ世界内の亀裂が出ました。エジプトや、サウジアラビア、アラブ首長国連邦は「アラブの春」に猛反発した一方、カタールは中道的態度を示しました。

アラブ首長国連邦などは、「カタールの態度はほかのアラブ諸国の立場に逆行している」と批判しました。また、地域で影響力拡大を図っている石油生産国間の争いもその根源の1つと指摘されています。

暗い将来

湾岸外交危機が発生してからこの半年、多くの国は、深刻な被害を避けるために、問題解決に取り組んできましたが、残念ながら、期待通りの結果を収めていません。当事国も消極的な姿勢を示しています。

危機が始まった当時、関係国は問題解決のために努力しましたが、その後、曖昧な態度を見せてきました。行き詰まりを打開するためのチャンスとみられた2017年12月5日のGCC首脳会議も活用されませんでした。サウジアラビア、アラブ首長国連邦、バーレーンの首脳らがこのサミットに参加しなかったことはその証です。

クウェートはGCC首脳会議の場を関係正常化のきっかけにしようと仲介外交を繰り広げましたが、サウジや、アラブ首長国連邦、バーレーンなどは強硬な態度を崩さなかったのです。これにより、GCCの枠組みそのものも存続の危機に直面しています。

現時点まで、湾岸地域の外交危機は予断できない状態となっています。アナリストらによりますと、この危機は武装衝突に発展する可能性は低いのですが、長引くと、関係各側に深刻な影響を与えるとしています。

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