ASEAN外相会議、ベトナム東部海域問題が最大の焦点
4日、マレーシアの首都クアラルンプールで、ASEAN東南アジア諸国連合の外相会議が開幕しました。会議で、外相らは今年末をめどにASEAN共同体の成立や2015年以降のASEAN共同体のビジョンについて協議する他、世界と地域の問題についても意見交換します。その中で、ベトナム東部海域、いわゆる南シナ海の問題が最大の焦点です。
ベトナム東部海域の問題は元々ASEAN外相会議の議題として取り上げられていませんでしたが、中国が国際法に背き、この海域で岩礁を埋め立てるなどとして実効支配を急速に強めているため、この問題は主要議題になるはずです。
ASEAN外相会議の開幕式
外相会議前にもホット
今回のASEAN外相会議が行なわれる前にも、ベトナム東部海域の問題は関係各国の政府高官や専門家の発表によって世界のマスメディアの注目を集めました。議長国マレーシアのアニファ外相は、多くの国が航行の自由と安全など緊張が高まっているこの海域での安全保障問題を懸念していると明らかにしました。又、アニファ外相は、中国が国際法に背き、人工島建設を進めているのは地域の緊張をエスカレートさせており、関係各国の信頼の低下につながっていると強調しました。
一方、フィリピン軍の報道官はASEAN諸国に対し、団結してベトナム東部海域での中国の違法行動を阻止するよう呼びかけました。又、アメリカの外交官は、アメリカとASEAN諸国は中国の埋め立て工事の速度、規模、意図について大きな懸念を持っているとした上で、ベトナム東部海域の問題はASEAN外相会議の重点的議題であると強調しました。
それに対し、中国はASEAN外相会議で南シナ海問題は議論されるべきではないとの立場を示しています。中国の劉振民外務次官は会議に先立つ3日、「南シナ海問題を議論するには適切な場ではない。この会議は加盟諸国の協力関係を強化するためのものだ」と強調しました。そのうえで、ASEAN以外の国は介入すべきではないと指摘しました。
ベトナム東部海域問題の解決へ
近年、ベトナム東部海域での紛争は緊張が高まりつつあります。昨年の5月、中国がベトナムの排他的経済水域で石油リグ「HD981」を設置したことをきっかけに、この海域の緊張が急に高まり、ASEAN諸国の他、アメリカや日本などが特別な関心を示しました。
問題解決に向けて、フィリピンは国連海洋法条約に基づいてオランダ・ハーグの仲裁裁判所で仲裁手続きを求めました。一方、ベトナムを含む他のASEAN諸国は、ベトナム東部海域での紛争防止を図るCOC=「海上行動規範」の策定を進める方針です。しかし、中国の消極的な姿勢で、この行動規範の策定は遅れるおそれがあります。
こうした中、中国とASEANはベトナム東部海域での突発的事態に対応する為、外相ホットライン(専用回線)を設置することで合意しました。これは海域での紛争の緊張緩和に役立つと評されていますが、行動規範を迅速に策定すること、岩礁の埋め立てなど緊張を高める全ての行動をやめること、及び、国際法に基づいてベトナム東部海域での主権主張を明らかにすることが問題の根本的な解決策だと見られています。